オシムが倒れ、どうやら報道では少しずつ意識を取り戻し、ジョークも

言ったとか。それがどういう感じなのかはわかりませんが、あの流暢な

口調でのジョークを聞きたいものです。とりあえずは回復の兆しが出て

きたことはホっとしています。



で、その後任に岡田監督が就任したわけですが。

日本協会は本当に岡ちゃんでいいと思っているのか。


僕は当初、オジェックと聞いた時は単なる飛ばし記事だろうと思っては

いたのですが(これでオジェックにと本気で考えていたのなら終わって

ますね)、岡ちゃんの名前が挙がったときには、ヤバイと思いました。


僕の読みでは、とりあえずで後任を代理で日本人監督を立て、半年程

の間に世界の監督をリサーチし、その上でその後を任せ得る監督を

選ぶものだと思っていました。

で、その場合は直属のコーチであった大熊さんになるんだろうなと。


僕は大熊さんはじめ、日本サッカー協会お抱えで育てた監督は、全員

もれなくドイツで基礎を学ばされるので、ドン引き跳ね返しディフェンス

からの、攻撃は前の個人技でヨロシクサッカーしか出来ないので元々

嫌い(というか未来が見えない)なのですが、とりあえずの代理監督と

いうのであれば仕方ないとは思っていました。


が、それが岡ちゃんとなると話は別です。

岡ちゃんはその協会お抱えの監督の中で随一の監督としての勝運の

持ち主。サッカーの内容は伴わなくとも、ある程度の結果だけはついて

くる可能性のある監督。結果しか見えていない協会や一般のファンは

そのまま続投といういい口実を与えかねない。


今更10年前に時計の針を戻してどうするのか。

それまで日本は世界との個人能力で劣る部分を、守りきろうとすること

で補ってきました。で、それは日本人の勤勉さも相まって、アトランタ

五輪でブラジルを破るという快挙を残した。しかしあれは10年に一度

どころじゃない奇跡中の奇跡。恐らくあんな幸運だけで形成された

試合は僕が生きている間に二度と見られないでしょう。

しかしそれ以外でなにが残ったでしょう。

守りきる日本で、何が残せたことがあったのか。


世界との対戦で、フィジカルに劣る日本人が跳ね返すだけの守りきる

作戦をとって対等に渡り合うには、それだけの運が必要ということです。


その後トルシエ監督になり、フラット3という跳ね返すだけではなく、

高い位置を保った守備戦術を用いてそこそこの成績を収めた。

そしてジーコで個人能力を全面に押し出し、残念な結果を見た。

それらの歴史を踏まえてのオシムだったんじゃないのかい、と。


何故ここでトルシエ以前の目先の結果しか見えない、進歩のない

サッカーを選択せざるをえないのか。協会がなぜオシムを、千葉から

シーズン半ばで強奪してまで据えたのか。それは協会の考える

日本サッカーの目指す指針として、どうしてもオシムのような先を

見据えてチームを作れる監督でないと駄目だということだと思って

いたのですが、実際は違ったようですね。



僕らサッカーファンは、恐らく大半が岡田はNOであると思います。

しかし代表のみのファン、そしてサッカー自体ほとんど観ない人たち

の中では、岡ちゃんは意外に肯定的に捉えられているようです。

仕事中聞いていたラジオの中、特に面白かったのが、TBSラジオで

「アクセス」という一般リスナーが電話で参加しての生討論番組が

あるのですが、その中で出ていた人たちは細かく語っていたので

思わず噴出しそうになることばかり言っていました。

正直勉強になりましたよ。

一般の代表しか見ない人ってこんなこと思っているんだ…と。

馬鹿馬鹿しすぎて内容はもうほとんど忘れました。



色々考えて、僕は協会側の監督選考の本筋がやっとわかりました。

ええ。僕が見抜けなかっただけなんです。

協会がそんなにも馬鹿だったということを。

云わばそれを見抜けなかった僕が一番馬鹿だったのでしょう。


要するに、協会側は日本サッカーを強化することの前に、いかにして

お客を呼ぶかということしか考えていない、ということなんですね。

W杯にさえ出られればあとはなんでもいいんだ、と。


ジーコの選考がまず、完全に客寄せパンダであったのは明白でした

が、それではやはり駄目だということのオシムではなく、その時Jリーグ

で面白いサッカーをしていると評判だった、「人気のあった」オシムと

いうわけなんですね。

そして今回の岡ちゃんにして決定的になりました。

協会が見ているのはサッカーファン、Jリーグファンではない。

より大多数の日本国民であって、要はいいお客さんの支持をいかに

して集めるかということなんですね。


これで次のW杯は高望みは出来なくなりました。

まぁ過酷な環境ですから、元々いい成績が望めたわけではありません

が、少なくともオシムが4年指揮をとってくれれば、確実に日本にとって

財産になるであろうものがたくさん残ったと思います。

それは戦術であり、オシムの言葉であり、僕らファンの目の肥え方など

様々であったと思います。真新しい経験が出来たはず。

しかし岡ちゃんでは目先の戦いに全力投球しか出来ない監督。

恐らく毎試合同じような光景を延々と見せられるだけでしょう。


もうただW杯に出ればいい時期は終わったと思います。

ここ数回の五輪を無駄にしているのに、まだ協会はわからないのか。

いや、その部分は査定の対象ではないのでしょう。


反町の五輪、岡田のW杯…

なにが稀代のリアリストか。報道は結果論ばかり。

なにも別に面白いサッカーを見せろと言っているのではない。

結果も必要だが、先を見据えていかねば日本サッカーの発展はない。


何度も言いますが、もう五輪やW杯に出るだけで経験になったという

時代は終わったんです。なにかをチャレンジしなければ、もう選手

個人の経験だけしか積めないんですよ。


まぁ一番経験を積まなければいけない協会が最も経験を積めていない

ことがわかってしまったのが今回一番悲しいです。

これではこれ以上の日本サッカーの発展は運頼みでしかない…。