報われない。
勝ちに値する内容だったのは明らかにヴェルディだった。
相手は出来る限りリスクを減らすことだけを考え、守りきれさえすれば
いい、無失点にさえ抑えられれば1点でも入れれば勝てるし。という
THE,J2仕様の急先鋒。三浦監督は笑いが止まらないことだろう。
勝利が向こうからやって来るのだから。
現日本代表監督のオシムは常々言っている。
「リスクを伴わないサッカーに発展はない」と。
それは今年の横浜FCをはじめ、過去J2から昇格したクラブの結果が
物語っている。もちろん札幌が戦力的にこういう戦い方をしなければ
J1昇格など夢のまた夢なことはわかってはいるが、だからこそこういう
チームには絶対に勝って欲しかった。間違いなく悪しき伝統。
こういうことを言うと、イタリアなんかは世界トップレベルのリーグなのに
「カテナチオ」と呼ばれる守備重視戦術であれだけの地位を築いている
とか言い出す人もいそうだが、日本とイタリアでは人種的な能力の違い
というものがある。屈強なDFが数多くいるような国とは違うのだ。
今年のヴェルディは恐らく、その悪しき伝統を打ち破るチャレンジを
しようとしているチームのはず。名波が、服部が入団したのはそういう
志を持って来てくれたはずだ。
今年のJ2は過去最多といっていいくらい上位チームの戦力が拮抗
している。正直、仙台や京都あたりが今の札幌くらい走っているので
あれば仕方が無いと納得もするのだが、正直現在札幌だけが走って
いる状況には憤りしか感じない。たまたま勝利を重ねたことによる、
ただメンタルの充実のみで勝ちを呼び込んでいるチーム。
昨日もそのパターンでやられた。それが凄く悔しい。
今年、いや昨年から、いやそれ以上前からか、ヴェルディは試練を受け
続けてきた。サッカーの神様がいるのであればもう許して欲しい。
選手は最後まで戦ったし、ラモスもなんとか状況を打開しようと、難しい
局面で臆することなく選手を交代し、機能していた3-5-2を崩してまで
チャレンジした。幾度も決定的チャンスを作った。きっとあれが札幌で
あったなら3点は簡単に転がり込んできていたであろう。
なぜ報われないのだ?
これだけもがいてもまだ足りないというのだろうか。
昨日の試合は個人的に試合の状況を考察する気になれない。
ただ、「札幌に勝利の女神が微笑んだ」というだけの試合。
選手は胸を張って欲しい。チーム全体でリスクを冒し、それをしっかり
形にした。こういう試合を続けていけば、必ずいつかは報われるはず。
時として結果は残酷だが、それでも報われることを信じて、この調子で
戦って欲しい。僕も報われることを信じて応援するだけだ。
もちろん、現在のヴェルディが至高のサッカーをしているなんて微塵も
思っちゃいない。だが、自分たちからいいスタイルを、面白いサッカーを
作り出そうという気持ちは間違いなく高い。
そんな気持ちを持ったチームを、僕は誇りに思う。