オシムが中田英寿の復帰を望んでいる、かのような発言をしましたが、
http://www.sponichi.co.jp/soccer/news/2007/06/22/02.html
そっくりそのままを受け入れるとするなら、代表へ戻って来て欲しい、と
なりますが、オシムのことですから何か裏があっての発言なのだろうと
どうしても思ってしまいますなぁ。
まぁストレートに考えるなら、現在の代表選手へハッパをかけたという
ところなのでしょうが、それプラス中心となる、精神的支柱となれる選手
がいない現状を嘆いているという部分も伺えます。
そういう意味で最も興味深かったのが、
後継者になり得る選手については「もし名前を出したら大騒ぎになる」
という部分。これについていくつかの解釈をしてみました。
1.中田のような精神的支柱になれるという意味での候補選手。
2.中田のような、運動量豊富・攻撃・守備と、高いレベルでこなせる、
センターハーフが出てきてほしいという、能力面での候補選手。
3.中田くらいの中心選手になれるという、今後の成長の期待をして
いる選手。
普通に考えると「1」なのかなぁと思いますが、僕は意外と「2」のほうが
引っかかるんですよね。オシムが現状どのピースが最も足りないと
考えているのか、僕が思うに中盤のセンターなのではないかと。
終盤と前線を繋ぐパイプ役、オシムの標榜するサッカーをやるには
そこに相当能力の高い選手を必要とするハズ。現在は中村憲剛が
担っていますが、オシムは他の選手より憲剛に厳しい注文をつけて
いることが多い。なのに最近は完全にポジションを獲得している節
があります。要するにこれはそういう部分で考えるならば憲剛に向け
た発言なのではないかなと。
ただ、そう考えると最も適任なのは阿部勇樹な気がしないでもないの
ですが、オシムは常々「日本には足元のしっかりしたCBがいない」
とも言っているので、現状阿部をそこに使わざるを得ないということ
なのでしょうか。
そうなってくると、もう一人そういうレベルのキャパを備えている選手と
して上がってくるのが稲本でしょうか。本来の力が出さえすれば、
常に代表のポジションは与えられて然るべき選手のはず。ただ、
調子を上げてくると怪我をするという変な流れになっているため
不動のポジションを築けていないというだけで。
ポテンシャルで言うなら日本人ボランチでは間違いなくNo.1のはず。
オシムがそういう期待をしていると考えられる節のあるコメントを出し
てもいますしね。前回のコロンビア戦後、
「明らかにコンディション不足の選手がいた」と名指しで批判していま
したから。オシムが名指しでコメントする選手はそれだけの期待の
現れであるということは、恐らく間違いないでしょう。
そして、まさかの「3」であったなら、現在呼んでいないか、当落線上の
選手に相当な有望選手がいるのかもしれない、ということになります。
それはそれで凄く興味が湧いてきますが、まぁ多分ないでしょう。
まーなんでしょうか、日本にビエイラやジェラードでもいりゃ一発解決
なのでしょうがね…それ言い出したらキリがないですね(笑)
まとめとして。
オシムが求める選手とは、「走力」「ディフェンス意識」という部分を
重視しているように感じますが、実際はオシムほど「テクニック」を
重視している監督はいないのではないか、と僕は思います。
まず「高いテクニック」ありきで、その上で「走る」「ディフェンス意識」
という部分を要求していく。要するにオシムの考えは、テクニックは
選手本来の能力だが、走ることやディフェンス意識は考え方の問題、
選手の意識次第でいかようにでもなる、という所なのではないかと。
そういう意味で、中田英寿という選手は元々「ファンタジスタ」と呼ばれ
るほどテクニック依存の選手であったのが、セリエAで揉まれるうち、
徐々にディフェンス意識や走ることの重要性を自らの体験から培って
いった選手であったと思います。言わばオシムの言いたい事を自然な
流れで通ってきた選手という見本のような選手であったということ。
そういう意味でオシムが中田を引き合いに出したのではないか、
なーんてね。
深読みしまくって考えて、僕はこういう結論になりましたが、一つの発言
からでも色々考えることの出来るオシムという人はやはり面白いなぁと
常々思います。
結局は自分なりに結論を出したところで、真意はオシムにしか分から
ないのですがね。それでも考えさせられてしまうし、その作業が面白く
感じてしまうのです。