君たちは今が世界を読んで
同級生S藤くんのことを思い出しました
S藤くんは痩せていて身長が高く
頭の回転がはやい子でした
けれどクラスから浮いていたのは
スカートめくりの常習犯で
女の子のたて笛を舐めたり
水着の着替えをのぞいたり
キモいので女子達から嫌われていました
とくに帰り道が同じだったわたしは
付き纏われて 最悪でした
どこか遠くに転校して欲しいと思いました
S藤くんは低学年まで
お父さんお母さんとお姉ちゃん2人
家族5人で暮らしていましたが
3年生になってお母さんがお姉ちゃん2人を連れて
出て行ってしまいました
それからお父さんとの2人暮らし
けれど学校ではいつも通り
キモいけど明るいキャラでした
お父さんと2人で暮らすようになってからは
いつも汚れた体操着を着ていて
給食では毎日誰かの嫌いなものを自分の器にもらってまわっていました
カレーでらっきょうが出ると
S藤くんの皿はらっきょうで山盛りになりました
(皆んな嫌いだから)
私も嫌いな牛乳をいつも飲んでもらっていました…
給食では助かったけれど
でもクラスのみんなが
いつも上履きのかかとを踏んで
汚い体操着をきているS藤くんのことを
どこか蔑んでいるところはありました
(今思えば上履きも小さくなったのに買ってもらえなかったのかもしれません)
S藤くんのお父さんは
定職についていないようでした
わたしの両親がPTA役員をやっていたので
他所の家庭の話をしていることがありました
S藤くんの家の話題も時々ありました
S藤くんが大嫌いだった私は
何か弱味を握れないか
聞いてないふりをして聞き耳を立てていました
お父さんが働いてないんだ
フーン
私の父は
多趣味でしたが、一時期ヨットを所有していて
利根川で(笑)週末ヨットを走らせていました
そのセール(帆)さばき?の手伝いに
付き合わされるのはいつもわたしでした…
わたしに拒否権はないので
毎回嫌々付き合ったのでした
ある日
いつものようにヨットを走らせに行くと
何故か 父は
S藤くんのお父さんを
ヨットに連れてきました
わたしと
父と
S藤のお父さん
犬🐕のコロンボ
3人と1匹でヨットに乗りました…
子供ながらに
なんなん、この組み合わせは…と思いましたが
S藤くんのお父さんは
S藤くんと違って大人しくて
うちの父にとても低姿勢でした
そしてヨットは別に好きそうじゃありませんでした
ふと見せる表情がとてもつまらなそうでした
ああ、この人もうちの父に無理やり連れてこられたんだなぁと感じました
それから まもなく…
S藤くんのお父さんが
うちの父の会社で働くことになりました
そのことで少し 母と言い合いをしていました
他所のうちのことは放っておけばいい
というようなことだったと思います
つづく