たまプラーザ東急百貨店の制服コーナーにはKO横浜の制服を着た子供のマネキンが男女並んでいる。

私は息子が着たら可愛いだろうなぁと通るたびに想像していた。
ま、受験するわけじゃないし。
だいたいKOなんて、うちには無縁だよね。


「記念受験させるよ」


年少の終わり頃だっただろうか、夫婦の会話の中で主人がそう言った。

えっ?!

そうだったの。
そんな考え持ってたなんて知らなかった。
たしかにKO横浜は最寄駅からふたつ隣の駅にある。
うちから歩いたら20分くらい。
じゅうぶん通える距離だ。

記念受験  いいかもしれない。
運が良ければ受かっちゃったりして!
私の心は踊った。
あのグレーの制服を着て、帽子を被った息子。
なんて眩しい姿なのだろう。

北関東のド田舎育ち、底辺高の私には見上げる階層だった。
テレビでしかみたこと聞いたことのない世界。

だけどこれは夢物語ではないかもしれない。

息子のおかげで、努力次第で、キラキラした  そこ  に行けるかもしれない。
42で息子を産んで、さらにこれからお受験まで経験できるなんて  私はなんて恵まれた人生なのだろう。

お 受 験
マザーゲームっていうドラマを思い出した。
あんな感じなのかな?
気取ったママたち。
表面は仲良くしつつ裏では足の引っ張り合いみたいな!ドロドロなかんじ?
厳しいお受験塾とか通うのかしら!

でもさ記念受験て、完全な運任せになるんだよね。 合格率0.000000…
奇跡に近いわけでしょ。
それなら少しでもパーセンテージをあげたいよね。
少しでも。

私「どうせ受験するのなら、記念受験じゃなくて準備は全力でやりたいと思うんだけど」

主人「いいと思うよ」
       「でも受験は母親が大変だよ。大丈夫?」

私「うん大丈夫!」
(だって所詮は小学校受験、6歳のやる事なんてたかが知れてるでしょ)なんてその頃は思っていた。

おそろしい勘違いだった。

乗り込んだら最後、お受験という スペースマウンテンが…動き出す。

最初はゆっくり と

けど気づけば
何が何だかわからないかんじで
右行ったり 左に行ったり
最後(直前講習)まで加速していくからね!



で、話を戻して

大事なこと。

お受験が決まったところで、主人公の息子に伝えないといけないわけで。


私「息子くーん!」

息子「なーにー」プラレール中

私「あのね、(息子)くんは江田駅のKO小学校に行くことにしました」

息子「KOの学校!」
       「うわ!ぼく行きたーい!」

私(えっなんでだろ。すごい良い反応?)

私「でもね、息子くん。そこに入るためには、たくさんお勉強をしないといけないのね。頑張れる?」」

息子「頑張れるよ!」
「じゃ、Suicaでピッってして小学校に行くの?」

私「そうだよ、電車で行くことになるからね」

息子「やったー!」
       「京王の学校でしょ!  楽しみだなあ!」

私「!!」

合点がいった。
京王の鉄道学校だと思っている…
……。

勘違いがやる気になるなら、…いいかな。いまは。

どんな学校を想像してるのか気になるけど…!

入れたらほんと、良い環境この上ないし、ねえ。
絶対自慢しまくっちゃうわーほんと。


さぁ 塾はどうしよう。
お受験塾、私も色々とリサーチしたのだけど、主人がJが良いね。とのことで

合格実績が圧倒的な大手 J 

年中になる4月から通い始めることに決めた。

しかし浮かれた田舎者の私と天真爛漫な息子は Jの洗礼をおもいきり受けるのだった。