プネでの生活が少し落ち着いた頃に、ヒンディー語の勉強がしたいと思い、
facebookでプネの”Expat Club”(国際色豊かなメンバーが情報交換をするページ)に
私の料理や工芸品の写真と共に投稿した記事を見て、連絡をくれた多くの人の

中で、一目会ったその時から、恋ではなくとも仲良くなったBharti。

お互い美や創作に対する意欲が高く、多くを語らなくとも、分かり合える、

価値観の近い貴重なインド人の友達の一人です。

 

今回は、プネで唯一無二のPerfumerでありながらも、私の親友でいてくれる、
Bhartiについて書きたいと思います。

 

ナイジェリアで生まれ、イギリスの名門美術大学、セントラル・セントマーチンで
美術を学んだ、生まれ持ったセンスと探究心だけではなく、教養のある彼女。

シンガポールでコンテンポラリーアートの修士課程を修了した後は、東南アジアを
中心に各国で開催される美術に係る展示会を訪れ、美術評論家として多くの執筆活動
を行っていたそうです。

 

 

20代前半には、アーティストとしての道を考えていたものの、自分にとっての
 “アート” が何かが定まらず、学び続ける中で模索を続けながら、言葉で表現
することの限界、アートシーンの変動にも疑問を感じ始めた頃、新しい知識と
経験を積むために、フィールドと視野を広げ始め、“母国“となるインドに移住し、
根を下ろす事を決意。

もとから料理好きだったため、新しいジャンルの料理にもいろいろと挑戦を
始めるうちに、保存食、酵母作りのような、一から自分の手で行うモノ作りの
楽しさ、食物自体の力で起こる”発酵”の魔法を見出しました。

彼女自身が市販の薬にアレルギー反応を起こす体質から、アロマテラピーに興味を
持ち始め、そこから探求家の精神が、植物の持つ効能と、天然の“香り”の世界に
彼女を導きました。

 

 

甘いもの好きな彼女、最初は食用のハーブの精油をブレンドしてスプレーを作り、
自分の好きなデザートやスープへの香り付けとして楽しんでいたそうです。
ある時、“食べ物” を ”香り” で表現する、というアイデアがひらめき、そこから彼女
にしか作れないオリジナルの、スパイスと柑橘の香りが利いた練り香水、
“グリーン・チャツネ” が生まれました。

 

 

その他、彼女の友達のフランス人が形容した、“雨の日のバンガロールの、ゴミ、お香、
どこからかほんのりと空気に漂う花の香りが入りまざった、混沌とした町の香り”、
という表現から作られた、“バンガロール・レイン” 等、彼女の独創的なアイデアとセンス、
そして知識の基作られるブレンドは、他には類のない芸術的な“香水”です。

直接会わずとも、「こんな感じで」とか、その場で「これとこれが好き」、というような
リクエストにも対応し、世界で一つの自分だけの “香り” も作ってくれます。

 

  


最近作ってくれた、ローズ&レモンの練り香水。
数年前に代々木公園で行われたイベント、”ナマステ・インディア”で買った、
サンダルウッドの入れ物に入れてもらいました。

彼女の作る練り香水は、彼女が選んだ美しいシルバー製の入れ物に入れられ、彼女が
手縫いで仕上げた、シルクや刺繍の施された生地の巾着袋とともに
 ”Litrahb Perfumery" の製品として届けられます。

 

 

練り香の基本的な材料は、蜜蝋、ホホバオイル等のキャリアオイル。

彼女のすごいところは、インドでは手に入らないヨーロッパの高品質の精油や、
インド国内でも原材料と製造過程に間違いのない、伝統的な手法で作られる精油を
使っているのはもちろん、自らも植物やスパイスを使って、数ヶ月時間をかけて香りの
抽出をしているところです。

そんな彼女の活動が映像となり、YouTube でご覧いただけます。

https://www.youtube.com/watch?v=lvn9AWq9Y0I

とても良くできたフィルムで、あと何シリーズ化される予定だったらしいのですが、
残念なことに途中で中断となってしまったらしいです・・・。

海外発送もしているので、ご興味のある方は是非彼女のサイトを訪れてみてください。
(英語対応のみですが、ご要望があれば私が対応します!)
https://litrahbperfumery.com/about/