日本ではあまりまだその存在と価値が知られていない、イギリスの植民地時代にインドで生まれた、「カディ」。
イギリスの機械織り綿布に対する抵抗として、ガンディーがインド各地を歩き回り、手紡ぎ・手織り布の生産によるインド人の自立を国民に呼びかけたことで、インド中に普及したといわれています。テクノロジーの進化が目まぐるしく進み、大量生産、機械織り、化学繊維の洋服が出回るようになってしまったインドですが、今でも「カディ」は多くの人に愛用されています。
手で紡がれた糸は、不均衡ではあるものの、かえってその「糸むら」により風を通しやすく、吸収性、速乾性に優れ、夏は涼しく冬は暖かいという特徴があります。
機械とは比べ物にならないほど手間と時間がかけられ、丁寧に織られた布は、時とともに肌に馴染んでいきます。

そんな「カディ」が作られる過程をこの目で見て、感じるために、インドのマディヤ・プラデーシュ州の古い城下町、手織り物の名産地として知られるマヘシュワールにある慈善信託団体の一つ、WomenWeaveを訪ねてきました。

私の滞在する、マハラシュートラ州、プネからバスで行くこと約12時間。平日はプネで仕事があったため、金曜日の夜にプネを出発し、土曜日の夜行バスでまたプネに戻るという、強行スケジュール・・・。
意外に快適だった寝台バスで土曜日の朝7時頃マヘシュワールに着くと、荷物を置いて少し休めるよう一部屋確保した、マヘシュワールの町外れにある宿の人にバス停まで迎えに来てもらいました。
シャワーを(もちろん水)浴びてリフレッシュして、朝食のイドリーとチャイを頂いた後、ローカルバスに乗って、WomenWeaveのある、街の中心地へ向かいました。

行く前から連絡をとっていた、WomennWeaveの運営管理をしているインド人女性と少し話をした後、工場内のツアーをさせてもらうことに。

創業以来、未亡人、離婚者、障害者等の収入がない農村地区の貧困層の女性たちを中心に、工芸技術の訓練の場を提供し、育成を続けているWomenWeave。公正取引を通して、インド国内及び世界のファッション業界と提携をし、自然環境・女性達の育児と健康に細やかな配慮をしながら、質の高い作りに取り組んでいます。

その広い視野、理解と自由のある社風は、清潔感と開放感のあるその場にいるだけで、居心地の良さとして感じることができました。


そして、工場内のツアー・ガイドを引き受けてくれたのは、南アフリカ出身で、インド各地のテキスタイルを求めて旅を続けている女の子、レイラ。
同じテキスタイル好きとして、あっという間に意気投合して仲良くなりました。
WomenWeaveのモノづくりに魅せられた彼女は、自分の勉強を兼ね、ボランティアとしてあらたなもの作りのアイデアを提供、伝授するために、マヘシュワールに滞在中は毎日ここに通っているとのこと。

今まで見たことのない新鮮なデザインや技法に、そこで働く女性達や、働く母親を待つ子どもたちも大喜び。

色とりどりの糸、庭の緑と青空に映える、色鮮やかに干された布を見るだけで、心が踊りました。

(その2へ続く)