僕たちはイチローじゃない。 | マニンゲンメンバーのブログ

マニンゲンメンバーのブログ

なすすべなき劇団「マニンゲンプロジェクト」のマニンゲンメンバーが綴るブログです

僕が寺山修司が好きなことに対して、意外だと驚かれたことがある。意外だと驚かれたことに僕はちょっと驚いた。


でも驚かれるのはちょっと嬉しくもあったりした・・・とか、よく分からない。


公演をやるとアンケートというのを書いて貰うのですが、誉めてくださる方がいる一方で、観ていて辛かった、などの意見がそこに混じることがうちの劇団は多い。

先日のマッキーの記事でも、そういうことを友人に言われたという内容のものがあった。


でもね、輝きだけで人間というものは生きていく訳にはいかない、というか、いけない。日本中の誰もが知っているようなスポーツ選手や、成功者はごくごく僅かな一部の人であって、それ以外は人生そうそううまくはいかないんだよ、という人たちに囲まれ、自分も同じようにうまくいかずに僕らは生きてる。

観たくないと言われてしまえばそれまでなのだけれども、奥深い思想や想像の世界で死や悲劇、焦燥、後悔、快楽、といったものと向き合う物語を作るというのでなければ、自分の場合はいけない、なんて物凄く偉そうなことを思う。

思いもよらない不幸や悲劇、選ばざるを得ない選択肢、この社会で適応しあぐねて迷って自己嫌悪や自暴自棄になっている人たちを無視して、ただ楽しけりゃ良いっていう舞台を作るっていうのは、何かちょっと違うように思う。だったらテレビで良い。楽しみたいなら、ハリウッド映画でも良い。もっと言えば、飲みに行けば良い。


演劇を楽しむ為に観ようとしなければいいんじゃないの?


とか、滅茶苦茶な要求をしそうになる自分もいたりするくらい。


ちょっとした選択。それだけで物語になる。傷も後悔も希望も露見する。



僕はイチローじゃない。でもそれで良かったと思ってます。だって僕がイチローだったら、多分プロ野球の選手になってないもん。



さようなら。