VOL398:


● ネットで買い物をする人達と内向きなフィリピン



目標にする市場は、日本ではない、と。

フィリピン国内には国外の経済の状況に左右されない富裕層が有り、
その購買意欲は旺盛だ、とよく言われるが。
富裕層までいかない中流階級の上の層、これを僕は月収1万5千から7万ペソくらいの層と
勝手にみている。

これくらいの層の購買意欲は景気に左右されにくく、マニラ首都圏でトータルすれば
もっとも大きな金額の購入をする層だ。

海外からフィリピンにないものを探してきて、食べもんでもサービスでも物でも買いやすい
価格設定にする。

どこ産のものかは関係無いが、キーは日本国内で流通している品質を保つこと。

中国製でも日本で売られているものであれば価格的にローカル市場に出回っている
粗悪品の市場価格よりも高くても大丈夫。
日本からサービスなりを移植するのであれば、その品質にこだわる。

中国産品というと香港や上海あたりからマニラ港に直接出荷されて、ディビソリア市場などで
各地の市場向けにバイヤーが買いあさっているようなものがローカル品質だ。

そういったものでなく日本の規格で作られ日本向けで通常はマニラには出回っていない物
やサービス。

これがレストランなら日本でのレベルだと感じられるサービスを提供すること。

売れるものを仕入れを構築するのは全体の半分だけで、それは比較的易しい方だ。問題はそれをどう
販売するか。もっと丁寧に考えなければいけないし販路を開拓するのに時間と労力を使う。

それは自分で新しく道を開いていくなら試行錯誤の道だ。

日本の品質を持った製品ということであるならディビソリアやバクララン市場で売られている
ものを買ってきて二流のモールで売るようなことはできない。
そういう店頭で見て買うようなものはその辺の売り子に任せておいて、日本品質のものは
ネットを使わない層には店頭でアピールしても思ったように売れない。
口コミとネットを駆使せずにはいられないようになってきている。

物をどのターゲット層に売るかで違うが日本の品質ということを目玉にするならネットを毎日みている
人達に限る。

日本のように安全にネット販売をする土壌がまだ整っていないので、日本のような
ネットでの宣伝の方法が有効かというとそうはならない。

それはソーシャルネットを使って物を口コミで情報を得て安いものを探して買う、というスタイル。
価格コムではないが物を売り買いするという目的のためのソーシャルネットワークがマニラには複数存在する。

それはある特定のブランドを好む愛好家だったり、日本のものを強烈にほしがるグループだったりする。

それを使ってどうするマーケティングするかは試行錯誤の連続。

でもおもしろい、なぜなら効果がすぐわかるから。
知れば知るほど奥深いネットの世界が広がっている。

この国のターゲットマーケットの状況をよく見ながらやり方を模索して、少ない金額から
損失を避けながら試しながらすこしずつやり方を変えていくと自分独自の仕入れ方法や販売
スタイルを構築できる。

ポイントは自分だけしかできないというニッチな独特の体験を提供することを念頭におくこと。

自分の得意なやり方を生かしてコネクションと専門性でターゲットグループを引きつけ
リピート客を増やしていく。

この国ではやっとネットの情報を通じて人が物やサービスを購買するということが
流通しだしてきた。
問題はネット上の支払いや商品の受取といったところの整備ができていないから
実際に人と会ってやり取りをすることになるのだが。

ここにはものすごいチャンスを感じる。が、普通に外の店でしか見ずに買い物を
する年配の日本人の人にはそういう世界がまったく見えない。

日本からフィリピンに来てなにか商売を立ち上げようとしている人でも
日本では普通にYahooやアマゾンや楽天を使っていても、こちらでそういうことは
無理だからとあきらめてよくわかっていない人が殆どだ。

現状フィリピンの若い世代はそういったオンラインショッピングの一歩手前の状況まで来ているのだが、
そこが見極めにくいのは下流と中流と上流の階層で分かれていて、その人達の動きはネットの中の世界
にしか見られないからだ。
僕がここに書いているのはアテネオ、ラサール、一流七大学くらいの卒業生レベルの人達を言っている。

このレベルだと普通にアメリカに遊びに行ったり勉強しにいったりするから海外のものを
普通に購入していたりするので数万ペソの買い物やボラカイに行ったりする。

アマゾンフィリピンを立ち上げようという訳じゃないが、要はもうすでにネット上で
買うものを選ぶことはフィリピンでは普通に行われている、特に高額輸入商品や趣味性の
高いものについては。





話が脱線するけど、フィリピンで自分商売を探して作り出せるかどうかというのはその人が
その土地で人々と市場のニーズと技術や知識、情報がどの程度他の国と比べて
遅れているか進んでいるかを正確に見れるかということからはじまる。

それは外国人だったら誰でも感じることなのだろうが、それに加えて
その需要を市場に合わせてアレンジしサービスを実際提供できるようにし市場を作っていくという
大変地道な苦労の多い作業につながっていく。
でもそれはまた別のスキルだ。

日本からやってきてフィリピン人と結婚したからと言う理由で終の棲家に選んだ人が自分で
商売をしようとすると大体日本食関係、日本人向けのサービスくらいしか選択支がない。
最近フィリピンに大挙して訪れている韓国人にしてもそうだな、やってることは
韓国人向けの食べ物やサービス関係、本国向け英語教室。

じゃあ華僑はどうなのってことになると、これが帰化してしった華僑は圧倒的に小売業に
従事することが多い(もちろんそれだけじゃないけど)。小売業からありとあらゆる業種を
牛耳っている。

アメリカや日本なんかと比べると外国資本による会社の設立にあからさまな制限が
あり、それは国内産業の保護、生産者の保護という建前だ。
それに加え関税や外資に対する様々な規制というのは結局輸入品のコスト増に反映されている。
生産者の保護というよりは国内資本家が価格を高く設定できるというの既得権益の砦になっている。

外国製品を輸入できる限られた資本家達の寡占市場状態では輸入品市場の価格も
高止まりだし、さらに政府も高い関税、消費税をかけるから消費者は輸入品を高くて買えない。

そういう保護主義はフィリピン国内の生産者を確かに守るためには有効だが、輸入や小売りをする大手
資本家の利益を保護しているともいえる。

いちよう政府が値段をコントロールするのは値段が安いのは生活必需品、砂糖とか小麦とか米とか
そんなものだけだ。

そこには被占領国の香りが漂っていると感じるのは僕だけだろうか?

結局なぜこの国に支配層とよばれる社会階級が残っていられるか、といえば支配層は資本家で
その資本家を守るために海外資本が入れない産業がしっかり残されているから。

海外資本が入れたとしても一定の地元資本の出資比率が求められるからそれで国内資本家は
潤うことができる。
そういう守られた産業は海外の競合相手と競り合う必要がない。なぜなら国内市場の分厚い利益
で食べていくことができる。それは消費者へコスト転化される。

国際舞台で競争はせず国内だけだよということになると海外に輸出する力がいつまで経ってもない。

国内主導の経済成長のみに頼るだけの保護されたフィリピンの産業はタイのような他国に
自動車を輸出することによってGDPをどんどん発展成長させていける国に
どんどん経済成長率で遅れをとっていく。
いまやベトナムにも抜かれそう。

日本のような国はその正反対の輸出による世界の需要にその経済成長を頼る国なので
国内でいくら需要が上がろうが、米国や中国が発展しなければマイナス成長だ。

フィリピンは海外への輸出に頼る部分が限定的で国内の需要の中で自給自足みたいな
経済規模しかないのでいつまでたっても内へ内へという保護主義的な政策しか取らない。

それは政治家である資本家階級の経済基盤を堅持していくことに他ならないため、
本能的に彼らは世界へ向けての経済解放政策は避けたがる。
大題目は自国の産業を守るため、

話が日本人の商売からフィリピンの経済、支配階層の政治的傾向に飛んでしまったけど、
ネットで買い物をし始めているフィリピンの中流層という話に戻ると、
ネットで買い物が簡単にできるための条件を整ってくると言うことは、
関税の高さや輸入の簡素化が進み、大手の小売り資本家から小さな個人商店が
流通の一端を担うという流れが加速されることに他ならない。

つまり日本で言うなら自分一人のネットショップのオーナーさんが日本中の嗜好品を
求める消費者に物を低価格で売れる、というような話に象徴されることだ。

要はSMとかデパートがだんだん売れなくなる。

まあそこまでフィリピンがいくのは50年かかりそうだけど。

アマゾンのような外資系がわざわざフィリピンでそういうことをするとも思えないし、
外資が入ってこれない状況がいつまで続くわからないが高い輸入関税をかけるのを
廃止すればアマゾンシンガポールあたりからネットを介して簡単に本が買えるようになる日
が案外早くくるかも知れない。

フィリピンはいつもその経済規模と保護主義のせいで外資の便利なサービスの恩恵に
預かれず素通りされる。

とっても残念だ。

さてWORKOUT行こか。