諦めも肝心? | マニラではたらく社長のブログ

諦めも肝心?

日本に帰国してから、ある方とざっくばらんなビジネスの話をした。

かつては、ヒット商品を飛ばすほどの斬新な企画力で業界を喚起した実績のある方だが、その実績を引っ提げて独立開業した方だ。

ただ、現実はそんなに甘くもなく、企業の看板の元では実績を残せても、独立して一人になった場合に同じようなパフォーマンスが発揮できるかといえば決してそうではない。

企業として、周りの支えがあり、自分自身が企画に集中できたからこそいい商品を世に送り出すことができたわけで、必ずしも、自分独りの力ではないわけだ。

結果、「いつかは好転するだろう」という希望を持ちながらも自己資金を食いつぶし、数年経ってしまった。

日本人の場合、子供のころより周囲から叩き込まれてきた、綺麗ごと的な言葉がある。

「頑張れば、いつかは報われる」

「継続は力なり」

いわば「石の上にも三年」という感じの格言。


確かにそれはその通りで、ビジネスに関しては継続していれば実力もノウハウもつくので、いつかは優良な顧客もつき、大きく報われることはあるかもしれないし、理想に近づくこともできるかもしれない。

ただ、時にはスッパリ諦める勇気も必要だ。

独立開業する会社が、最初から金融機関の支援を受けられるわけでもないから、一般的には自己資金で何とか始めて行くしかない。ということで、当然潤沢な資金があるわけでもないので、もし一定期間理想に向かって努力してみて、事業が好転しない場合は、「商品」、「顧客層」、「組織」のどこかに問題があるわけで、改善できる部分があればそれに越したことはないが、改善が難しい場合は、続けていても赤字を垂れ流すだけのものになってしまうので、それにかかる費用や時間、労力がもったいないだけだ。

事業家として、「理想」を追いかけるのは大変大事で、それがないとモチベーションにもつながらない。ただ、「理想」という言葉にがんじがらめになってしまうのであれば、あまり固執しすぎずタイミングを見計らってギブアップすることもビジネスの大切な要素であると考える。

当社の様々な事業も、やはり社会貢献や国の発展に少しでも寄与していきたいという理想や目標があることはあるが、それに縛られることなくフレキシブルな対応をしていきたいと常々思っている。

が、それもこれも、あくまでも会社としての収益が安定しており、キャッシュフローがきちんと回っているということが大前提になる。

明日生きるのに精一杯なアジアの貧困層の人々が、地球温暖化云々といった環境問題に目が行きとどくわけはずもなく、企業も一緒で明日の日銭をしっかりと確保することで、次のステップに目を向けられる。

可能性のあるビジネスはどんどん投資して増やしていくにしても、なかなか芽が出ないビジネスについては、社員に迷惑をかけないためにも、早めに「諦める」ということも大事なのだ。。