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会計事務所が何をするところかもわからないまま、そして「何するとこなんやろ?」という疑問も持たないまま教えられた場所へと歩いて向かいました。
その頃はアホすぎて「疑問を持つ」とか「調べる」とかすることなく生きていました。
もう一つ言うと、「面接で断られる」ことは全くもって、一ミリも考えていませんでした。
やりたいこと=必ずできること
欲しいもの=必ず手に入るもの
・・・ということを考えたこともないくらいに「当たり前のこと」だと思っていました。
言い換えれば、トイレに行きたくなったらトイレに行く(←よろしければこちらもお読みください)のと同程度の感覚です。
教えてもらった海沿いの一等地の住所には大きな自社ビルが建っていました。
これまたまさかの想定外の大企業!
受付を探し、受付のある階へと上がって行きました。
チンってという音とともにエレベーターが開くと目の前がすぐに受付でした。
「なんやここは!?」
それまで当たり前のようにここまでやってきた世間知らず、怖いもの知らずの21歳が初めてちょっとビビりました。
大きくて横長の受付デスクに受付嬢がズラーッと並び、受付の前の待合エリアにはソファとテーブルのセットがいくつも並んでいました。
受付で担当者を呼んでもらうと、黒髪でおかっぱの小柄な日本人の女性がやってきました。
彼女はJapanese Business Groupという日本企業相手の部門に所属していて、パートナーというポジションに就いていました。
アメリカ映画で良く見るようにペーペー社員以外は全員個室で、ペーペー社員もまた当時の日本企業ではまだほとんど見かけることのなかったパーティションで区切られた快適なデスクに、これまた当時の日本ではほとんど見かけることのなかったMACのデスクトップを、これまた当時の日本企業ではありえなかった一人一台あてがわれていました。
「すっごいなぁ~、映画みたいやなぁ~、かっこええなぁ~」
さっきまでビビっていたのにすっかり自分を取り戻し、興味津々で社内を案内してもらいました。
日本の小さな会社がすっぽり収まるくらいに広いファイルルームには一日中ファイリングだけしているおじさんが働いていました。
書類をファイルしたいときは、ファイリングルームの入り口にある箱に書類を置いておくとおじさんが必要に応じてファイリングしてくれるのです。
書類の入った大きなカートを押しているメール係のお兄さんもいました。
各人のデスクの上に置いてある「out box」に郵便物や社内の他の人に届けたい書類を置いておくと、メール係のお兄さんが持って行ってくれて、「in box」にはその人宛ての郵便物や書類を入れて行ってくれるのです。
「マジでハリウッド映画の世界や~」
オフィスを一通り案内してもらい、面接とも言えないような雑談後、
「いつから来れますか?」と聞かれたので、
「じゃ、来週の月曜日に出社します」と答えオフィスを後にしました。
が!
面接後の帰り道、重大な問題に気づいてしまったのでした。
どうなる、アホで怖いもの知らずの21歳!
・・・つづく