「10月はたそがれの国」 レイ・ブラッドべリ | MARIA MANIATICA

MARIA MANIATICA

ASI ES LA VIDA.



10月中に読まなくてはと思いつつ、ついに最終日まで持ち越してしまった。
でもハロウィンイブから万聖節にかけて読めたので、この本にはふさわしかったかな。

タイトルからしてワタクシ好みです、いいですねコレ。
原題は 「The october country」なので、翻訳の美しき技ですね。
何度目かの再読ですが、本当にいつもこのタイトルを見るだけでワクワクしてしまう。

初短編集の「闇のカーニバル」に(当時の)新作短編5編を加えたものが
この「10月はたそがれの国」として出版されたそうですが、
「闇のカーニバル」に収録されていたのどの作品で、新作がどの作品なのかが、
どこにも書いていないのが残念。ネットでも今のところ見当たらず。
これはぜひ、確認しておかなくては。

怪奇と幻想・・・怖いけど美しかったりやるせなかったり、
この独特の感覚はブラッドベリならではと思います。
も~うね本当にイイの、この世界!
どれも均一に怖いわけじゃなくて、皮肉なお話もあるし、
もの悲しさの漂うものもある。
自分の過失や誤解、あるいは欲ゆえに陥る恐怖は自業自得だとしても、
好意だったり、単なる偶然にもかかわらず、嵌ってしまう落とし穴もある。
幼い無知ゆえの残酷さとか、抜き差しならない立場とか、
訪れる恐怖、与えたり与えられる恐怖はそれぞれに異なるけれども
近くで起こらないとは言えないかも、と思えるような印象的な作品が並ぶ。
決して心温まる作品があるわけではないのに、後を引きます。
ハロウィンの様々な仮装みたいに、見た目の個性は様々だけれど、
そもそもはひとつの恐怖や畏れがあって、その恐怖の原因を紐解いていく過程で
それぞれの作品が生まれていったのかもしれないなんて思いました。

私個人は萩尾望都が漫画化した中で一番好きな「集会」や「びっくり箱」
「みずうみ」などがやはりこの作品集の中でも好み。
もう初読から30年くらいは経つと思うけれど、今も変わらず小説も漫画も愛読中。


ブラッドベリは「火星年代記」や「華氏451度」などのSFもとても良いと思う。
でもまた私は「たんぽぽのお酒」や「何かが道をやってくる」のような、
金髪のそばかす少年が現世のものではない何かと触れ合ったり戦ったりする
ひと夏の小さな体験と成長を描いたものはより好ましく思う。
そういったナイーブな少年ものを読んだ後の感覚にも通じるものがあるこの作品集。
やはりとても好きだと思う。


10月はたそがれの国 (創元SF文庫)/東京創元社

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