「幻の女」 ウィリアム・アイリッシュ | MARIA MANIATICA

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ASI ES LA VIDA.



「喪服のランデブー」が面白かったので同作者(別名義)のこちらも読みました。
われながらすごいスピードで読んだと思う。だって面白いんだも~ん♪
歴代ミステリの中でも傑作10選に入ると言われているそうです。

離婚の申し出を聞き入れてくれない妻の心を和らげようと食事に誘うものの、
土壇場でキャンセルされてしまったスコットは、怒りを抱えたままひとり街に出る。
最初の店で知り合った、奇抜な帽子(オレンジで奇妙な形をしている)を
かぶった女性と、その場限りの友達づきあいの約束で食事をし劇場に行く。

その女性と別れて帰宅すると、妻は殺害されており、その容疑者として
スコットは連行されてしまう。
彼のアリバイを明らかにしてくれるはずの女性を探すものの、
確かに彼らを相手にしたはずのバーテン、ウエイターなどなどは
「そんな女性はいなかった。彼は一人だった。」と証言する。
アリバイを証明できぬままスコットは死刑判決を受けてしまう。

そんなスコットの窮地を救うために、親友のロンバートと
スコットの愛人キャロルが危険を顧みずに動き出す。
「幻の女」は一体どこに?
なぜあれだけ目立つスタイルの彼女の目撃者がいないのか??

死刑執行日までのカウントダウンという形で章が進むのも
なかなか効果的でした・・・というか、この方このパターン多いですね。
「暁の死線」もこんな感じだったし。

実は途中で犯人のめぼしはついてしまいましたが、結構ひっかけも多いです。
後になってなるほど~と、ちょっと不本意な気分でその過程を理解したものも
あったりして・・・ただその犯行の理由と、なんといっても「幻の女」の正体と
目的が知りたくて、いつも以上にハイスピードで読んでしまったのです。

でも読後はちょっと不満も残ったのも確か。

「幻の女」が見つからなくても、彼がその時間そこにいたということは
裏づけが取れているのだから、アリバイ成立になるのでは?

そもそもなぜ彼が「幻の女」と別れて家に戻った時、すでに警察が
家にいたのでしょう?誰か通報したものがあったのか?

で、結局「幻の女」はどこの誰???
微妙にかすってはいるけど、この女性こそがというのはなかったし。

小説中に出てくる情報だけでは読者の考えが及ばないような事実が
「実は××だったのだ」みたいな形で、事件が解決したあとで
種明かしとして出てくるパターンがあったのもどうかと。
例)AさんとBさん、小説上ではずっと初対面の他人とされていたのに、
あとになって「実はふたりは、生き別れの兄弟だったんだよ」みたいなね。
その情報があれば読者の推理も違うって。
・・・これは他の小説でもたまに見かけえるけど、こういうのは
設定としてイケナイ気がする。

他にもまだいくつか気になる点はあるのですが、点数カラいですかね??
過去はともかく、現代でも大絶賛される小説だ・・・というのはどうも納得いきませんが
でも文章は大変に美しく、特に出だしの一文はシビレますし、ミステリーとしての
レベルはやはりとても高いと思います。

そう思うならもっと褒めろって??いや、面白いのは面白いのよ、これはホント。
ただこうだったら、と思うことはいろいろあるじゃないですか。


幻の女 (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 9-1))/早川書房

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