かなり前から読み始めていたものの、楽しい話ではないので
なかなか進まなかった。
元々は「1Q84」というタイトルがこの作品のアナグラムと聞いたことと
ディストピア小説の金字塔ということの2点から読み始めたわけですが、
実際に「1Q84」を読んでみると作品中にもたびたび結構この作品名が
登場しているので、やはり先に終えておこうと考えてのこと。
が、実際はあまり関係ないというのも以前聞いたこともある。
でもこれは私の満足度の問題なので・・・良いのだ。
それにしても読み終えよう!と決めたらちゃんとできるんですね~、いやはや。
「目的」って何事にも大切だわ、と実感しております。
さて、お話ですが「金字塔」という看板に全く偽りなし。
徹底的に希望のないお話でした。
「タイムマシン」を読んで以来、争いのない平和な国、世界を作るためには
人間から知性というか思考能力を取り去ることが一番の方法なんじゃないかと
思うようになっていたのですが、この「一九八四」の世界でも知性も思考能力も
たとえそれらを持っていても使う間が与えられません。
使用する言葉すら限定される・・・それは表現する語彙が減ることであり
知性の退化のきっかけにも、多分なるはず。
各国間の予定調和的な暗黙の了解の元、おわることなく続く戦争。
このあたりを始めとした管理社会の恐ろしさは言わずもがなだけど、
ここからはみ出てしまった人間の矯正方法はもっともっと恐ろしい。
具体的に残虐なシーンが続くわけではないけれど、精神への一撃が凄まじい。
精神の自由とか、人間の尊厳とか、いろいろ考えることになります。
「戦争は平和」
「自由は屈従」
「無知は力」
・・・くり返し出てくるこれらの言葉、一読した限りでは意味不明ですが
これがかの世界で使われる「二重思考」というもので、その意味するところは
中盤以降徐々に明かされていきます。
ここらあたりはオーウェルの情熱がひしひしと伝わってくる感じ。
1948年に書かれた「1984年」。
もう1984年もかなり昔になってしまったけど、こういう形は
いつでもどこにでも存在し続けているから、読み継がれるんだろうと思う。
特定の国だけでなく、日本にも、ゲンダイ社会にもいくらでも当てはまる。
単純に反・全体主義ということだけではないんじゃ??
問題はそもそも個人という小さな点から発生するわけだから・・・かな。
決して楽しいお話ではないけれども、とてもよくできた名作だと思います。
歯ごたえ、読み応えあって相当満足度も高い・・・かなり尾を引くけれども
読んでよかったと思います。
一九八四年[新訳版] (ハヤカワepi文庫)/早川書房

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