「1Q84 BOOK1」 村上春樹 | MARIA MANIATICA

MARIA MANIATICA

ASI ES LA VIDA.


今月末に2年ぶりに友人が帰国することになり、彼女にこの本を
プレゼントする予定なので、必要に迫られて読む事になった。
新品差しあげればいいだけの話だけど、読了済みのもので十分と
彼女も言ってくれるのでその分は他の贈り物に回そうという、
妙な経済的配慮からということで。

カフカをまだ読んでいないのと、先に読み始めたオーウェルの
「1984年」が途中なのが気になって仕方なかったのだけれど、
読み始めたら止まらなくなりいつもながらの一気読みとなりました。

面白い!と思います。
BOOK1では、まだまだ物語の核心に届くわけでもないけれども。

登場人物たちのパターンは、お馴染みの?村上春樹的という感じで
それぞれの抱えている問題や、生活様式や人間関係その他のいずれにも
本質的には根底に同じものが流れている。
で、そういう面ではほとんど登場人物に共感することができないのも
私にとってもまたいつもと同様であります。
特に村上作品での恋愛のパターンについては、他の小説家の作品のように
誰かに感情移入して読むということが一切できない。
「なんだこれ?」って、思うことがしばしばある。

それでも私は村上春樹の作り上げる物語の構成がとても好き。
ほかの作家ではありえないもののように思っています。
今回はこの「1Q84」という作品を完成させるために、
これまで村上春樹が培ってきた手法やら手法やらの経験値が
一気に作品の中に表れているように思えました。

あの作品がここでこのように消化されているのか、とか
あの対談がこういう結果を生んだのか、とかね。
私の勝手な解釈とはいえ、なかなかに楽しいものでした。
古いものから読んできた意味は私なりにあったかな。

だから、カフカを飛ばしてしまったことはかなり残念。
また中途で頓挫している1984年についても。

読み終えてみて、この感じなら多分期日までには
残り2巻+カフカまたは1984年・・・なんとかなりそうな
気もするのでこの作品の先を読みたいというココロは
ドウドウとなだめておいて、読みかけの「1984年」を先に
読み終えてしまうことにしました。
できればカフカも・・・。

続きは気になるし、私の場合読むそばから書いてあったことを
忘れてしまうという欠陥があるので(それは、再読が
何度も楽しめるお得さでもあるんだけど)
とりあえず1冊だけ読み終えた時点で思ったことのみ
書いておこうと思って。

青豆の生業とするものから考えると、いずれ天吾とどこかで
交差する日が来るにしても、幸せに暮らしましたとさ・・・とは
ならないことが想像できるけど、どう収束させるのかな。
続くあとふたつの巻で、村上春樹巻で今度は何を見せて、
過去の作品の何を活かしてくれるのかを楽しみにしようと思います。



くり返し、作品中に出てくる「SINFONIETTA」が気になって
YOUTUBEにアップされた内外の音源をいくつか聞いてみた。
作品についたコメントのあちこちに「1Q84」に影響されてと
書いてあるのがおかしかった。きっとCDもたくさん売れたことでしょう。
私個人は、ふかえりが好きだというバッハの方がやはりいい。







1Q84 BOOK 1/新潮社

¥1,890
Amazon.co.jp