「とっておきの名作」をまとめたもの。
米国文学はそれほど読んだことがないけれど、
サリンジャー・カポーティ・フィッツジェラルドなどの描く世界と
根底が似ている気がしました。
いわゆるジャズエイジってやつですね。
パーティピープルの馬鹿騒ぎと退廃・その満たされなさ、マイノリティの悲哀などなど、
いずれも佳作でしたが、あえて今後ほかの作品を追ってみようとまでは行かないかな。
私はやはり欧州文学、あるいは同じアメリカでもラテンアメリカ文学の方が好きみたい。
最後のドロシーパーカーの「ビッグブロンド」の結末、
本人なりの必死さと裏腹の結末の皮肉さにちょっと苦笑してしまった。
誰もが自分自身を演じているんだな、と。
でも、自分で思っているほど本人ヤワじゃなかった。
この手の作品の読後に残る「祭りの後」というか「やるせない満たされなさ」って
なんだか私にはとても贅沢なもののように思えるんだけど・・・共感しづらい感覚です。
and Other Stories―とっておきのアメリカ小説12篇/文藝春秋

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もう1冊、中学生の頃読んだ愛読書を実家で再読。
最近、頼朝サイドから描かれたものを2作品(萩尾&市川漫画)で読んだので。
以前にも書いたけど歴史ものは最初に読んだ側のファンになることが多く、
この作品によって平家より源氏、源氏の中でも頼朝より義経という図式が
私の中にはできあがってしまっています。
尚、これは小説ではなく事実以外の民間伝承を含めた伝記風に書かれたもの。
忠臣のひとり佐藤忠信にかなりページが割かれているのが面白い。
平家や義仲を倒した華やかな活躍のことよりも逃避行がメイン。
実力があり、忠義を尽くしてくれる部下や女性に恵まれながらも
肝心の兄・頼朝から認められることないまま若くして非業の死をとげる。
日本人の心をつかむ要素がたっぷりだな、と思いました。
面白かったのでもう少し詳細なものを読んでみたいです。
古典文学全集 (16)/ポプラ社

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