動画による朗読、英文と和訳の対照で読破する』という、ごくごく私的企画が
今朝ようやく終了しました。
小田島さんはシェイクスピアの翻訳では定評のある方ですが、
これもとても良かったです。
小説ももちろんですが、詩や、ましてやソネットのように音韻やら
行数やらの指定があるものを翻訳するためには相当の文学的素養や、
何よりも詩心がないと無理だと思いますが、美しいソネットができあがっていました。
前半の数編は、産めよ増やせよ・・・じゃないけど、若い(ある)人に
向かって、自分の代で終わりにせずに、子孫を残せ、というようなことを
さかんに謳っています。
昔はともかく、今は生む生まないについてもいろいろ選択がありますので
今だったら「自分のなすべきことをせよ」と理解しても良いのではないかと
思いました。
生まれてきた以上は、それぞれ使命があるはず・・・ってことですね。
以後は、どう考えても男性に対しての恋心が延々と謳われています。
小田島さん自身は、男性としての友情ととらえて訳したとあとがきに
書いていらしたけれども、これはやはりどう見ても恋愛感情でしょう。
それも熱烈な。
時には、高飛車に、時には懇願するように・・・恋するシェイクスピアが
熱い想いを心のままに謳っています。
情熱的で素敵です。言葉選びはやはりシェイクスピアなのかな。
この熱烈なソネットも後半に近づくと、今度は三角関係になっていきます。
嫉妬だとか、失望だとか・・・すごいの。
一体3人がどういう関係なのか、ちょっとわかりづらいですし、
実際、研究者の間でも誰と誰のことなのかは決着が付いてはいないようです。
それにしても・・・作家を含めた表現者って、改めてすごいなと思います。
こんな情熱的なラブレターもどきを、皆様に公開してしまう心境ってのは
どういうものなのでしょう。
それができるからこそ作家なんだろうけど、一般ピープルには
想像もつかない心情ですね。
さぁて、ソネットを多用しているというロミ・ジュリを、鉄が熱いうちに
読むようにしよう。
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全部で154のソネット。
初めて手をつけたのが昨年10月12日でしたから、半年以上かかってしまいました。
途中、日本語読むこともなく、ただただ機械的に動画と英文をアップするという
イケナイ日々もたびたびありましたが、とにかく全体を通して読み終えました。
英語、しかも古い英語なので、私がわかること自体がありえないんだけど、
それでもシェイクスピアを日本語だけで済ませるのは片手落ちだろうと思って
はじめました。
英語で読めたら言うことなしだけど、今は美しい日本語で読めたことに感謝です。
これからのシェイクスピア作品読解の助けになってくれることと思います。
シェイクスピアのソネット (文春文庫)/ウィリアム シェイクスピア

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