「恐竜物語」    レイ・ブラッドベリ | MARIA MANIATICA

MARIA MANIATICA

ASI ES LA VIDA.

久々のブラッドベリ作品です。
ブラッドベリが愛する、恐竜にまつわる短編と詩による1冊。

短編の形は違えど、それぞれの恐竜への思いの一途さが良いのです。
そして微笑ましくも、その一途さゆえかどこか物哀しかったりもする。
詩的なこの世界はやっぱりブラッドベリですね!素敵だ。

「大きくなったら何になりたい?」
「恐竜!!!」
「???」
なんて会話から始まる「恐竜のほかに大きくなったら何になりたい?」は
ブラッドベリの子供時代がベースなのかも。これとても好きだ!

タイムマシンで過去の世界に恐竜狩りに行く男たち。
禁止されていた過去への干渉をしてしまう。
それは一見ほんのささやかなことのようなのに、戻ってきた
彼らの世界はどこかが異なってしまっていたという「いかずちの音」。
ドラえもんみたいなわけには行かないのよね~。罪は重いのだ。

萩尾先生が漫画化していた「霧笛」もとても印象的。
ようやく原作を読むことができました。
物悲しくも美しいお話です。

最後の「ティラノサウルス・レックス」が私は一番好きかも。
弁護士の機転で、誰もが満足行く結果になって本当に良かった。

子供、あるいは子供時代からの想いを持ったままの人たちばかりが
登場するためか、早くも夏休みの気分になってしまいました。
変わらずに好きなものがあるっていいですね。

どの短編もいずれ劣らぬ良品でとても満足。
作品ごとに異なるイラストレーターによる挿絵が豊富に
使われているのも特徴的。
個性的なイラストは、アメリカンコミックス風、写実的なもの、
アキラ風・・・さまざまですが、残念ながらいずれも微妙に
私の好みとはちょっと異なるのは正直なところ。
ですが、やっぱりブラッドベリ・ワールドはいいなあと再認識しました。


恐竜物語 (新潮文庫)/レイ・ブラッドベリ
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