意欲が高まって、ようやく本日読了。
子供向けではない文庫版で読み、はじめてこの作品が戯曲であることを知りました。
読みやすくて解りやすいのに深い。
青い鳥を探して、チルチルとミチルの兄妹は旅に出るけれど
見つけた青い鳥はすべて、死んでしまったり、色が変わってしまったりと
結局手に入れることはできなかった。
ところが1年経って、ようやく戻った家に探していた青い鳥はいた・・・という
誰もがご存知のお話ですが、実は子供向けのものとは異なり、原作では最後に
その青い鳥も逃げていってしまうことになります。
けれども、鳥を逃がしてしまったチルチルの言葉は落胆もなく力強い。
きっとこの旅で「幸福」の意味を知ったからだろうと思います。
「光」の語る言葉の美しさ、犬の忠実さ、出会う人々が持っていたそれぞれの事情、
そして堀口大学さんの翻訳・・・とてもとてもとても素敵な作品でした。
幸福という目に見えないものですら擬人化されていて、見せかけの幸福たちが
それぞれ語る姿を客観的に見るのも面白い。
でもまた作品全体を通して、どこか物悲しさも付きまとう。
貧しくとも、持つ人たちを妬むことのない素直でけなげな子供たち、
たくさんの誰かの愛、そして死・・・それらの描き方ゆえなのかもしれません。
亡くなった人たちとの再会の章、母親との章は特に印象的でした。
人はいつも身近にある、大事なものに気が付かない・・・なあんてのが
この本の感想の無難な閉じ方になるのかもしれませんが、多分また
本を閉じたとたんに忘れてしまって、また同じことを繰り返すのです。
でも仕方ない。人間ってそういうものだから。
だからこそこういった古典的な作品が残ってきたのだと思う。
今月は読んだ本、いずれも甲乙つけがたい名作で、久々の当たり月となりました。
こんなところにも幸せはあるのさ~♪
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