「プチ・プランス」   川上勉・廿楽美登利 訳 | MARIA MANIATICA

MARIA MANIATICA

ASI ES LA VIDA.

久々に新訳を読んでみました。
翻訳者はお二人とも仏文科卒とのこと、英語経由や下訳なしで
フランス語からの直接翻訳がなされていることと思います。

今回はタイトルがそのままフランス語で、横書きです。
文体は「~だ。」といった形で、三田誠広、谷川かおる訳と同じ形ですが
大人向けということを意識して訳してあるように思います。
また、新書版にしては異様に挿絵が大きく、なんとなくバランスが悪い気がします。
他に特徴としては、後半にフランス語原文が収録されていることでしょうか。

タイトルがフランス語のまま、それをカタカナ表記というのも、
う~んという気がしますが作品中、王子さまのことをずっと
「プチ・プランスは・・・」「プチ・プランスが・・・」としているのは、
それ以上に気になったかな。

全体としては「~だ」という文体は歯切れはよいものの、私個人は
「です、ます」調で読むほうがこの作品について言えば、好きです。
翻訳はかなり意訳がされているようで、その点は三田誠広訳と争うかも。
この翻訳者の解釈がかなり入り込んでしまい、その解釈の方向に
読者がどうしても引っ張られてしまうような気がしました。
それが気にならなければ、わかりやすいとは言えると思いますが
このあたり、翻訳ものの宿命ですね。

フランス語の原文は、今回気になった言い回しをチェックするときに
昔学生時代にいい加減に習った基礎と、スペイン語に似ているということを頼りに
何度か使いましたが、別冊にしてあったほうが便利だと思いました。


内藤訳を別として新訳はこれで多分8冊目。
もちろんまだまだ新訳は存在しますが、これ以上読んでもあまり意味がないなと
いくつか読み進むうちに感じてきました。
内藤訳ではわからなかったことを補完すること、新たにこの1冊と言えるものを
探すことが目的だったはずなのに、何を求めて読んでいるのか
自分でも全くわからなくなってしまいました。
ここが気に入らない、あれが気に入らない・・・そんなことを確認するために
読んでいるわけじゃないのに、どうも方向が違ってきてしまっているよう。
これでは作品に申し訳ない。

時間を空けてみたけど、結局それはあまり変わらなかったみたい。
残りの未読訳は箱にランダムにしまってしまいましたが、すぐ取り出せる
倉橋由美子訳(期待の1冊!)を読んだら、またしばし冬眠させようと思います。


プチ・プランス―新訳 星の王子さま/アントワーヌ・ド サン=テグジュペリ

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