「2001年 宇宙の旅」   アーサー・チャールズ・クラーク | MARIA MANIATICA

MARIA MANIATICA

ASI ES LA VIDA.

昨日読了。
タイトルだけなら知らない人はいないと断言できそうな
ハードSFの名作ですが、なぜか今更。

さほど長いわけではないけれども、内容がとても濃く
一字一句読み飛ばせない感じでした。

スターチャイルドの誕生の経緯、意味については私自身は
「輪廻転生」なんて言葉がまず浮かんだほど、
仏教的な印象を受けました。

もともとあることがきっかけで、人は自分の意思で生きているように
見えても、結局自分以外の何か(誰か)に生かされていると
思うようになっていたのですが、SF読むたびにそのことを思います。

宇宙の壮大さの中では、私たちの存在など本当に小さな
見えない点に過ぎないのですね。
GOOGLE EARTHで今住んでいる場所を見てから、ズームアウトして
地球全体を見ただけでも大きさを実感するのに、さらに全宇宙、
そして外宇宙にまで話が及ぶわけですから、宇宙の大きさというか
人間個々の小ささは計り知れません。

とはいえ、だから生きる価値がないということではなく、
そんな大きさの中から見れば、日々の悩みなどどうということは
ないだろうとか、思っているわけです。
小さいなりにそれぞれのドラマを堪能すればよいのではないかと。

そんな壮大な世界、光の単位で語られる世界を描いているのだから
古い作品にもかかわらず古びていない、というのは考えてみれば
当然なのだろうと思います。
100年、200年なんて大した長さじゃないのでしょう。
作品中、ニュースクリップをタブレットのようなものでまとめておいて
それを閲覧する姿をはじめとした数々の製品は、
今を予言していたように見えるけれど、実はこれらの作品があって
現在のハイテク品たちが生まれたのかもしれません。
作品が予言しているのではなく、現実が作品に近づいたとは
言えないかな?

コンピューターHALの反乱の意味は私には良くわかりませんでしたが、
「故障」だったんじゃないかと思いたい。
PCの便利さのおかげで、だいぶ私自身も退化を感じていますが
これでさらに知性や思考力を彼ら?が持ってしまったら、
人間の存在理由などなくなってしまうように思う。

映画はテレビで放映するたびに見損なっており、
何年か前にDVDを借りてきたのですが、PCでは字幕が機能せず
断念しました。(テレビ経由だとなぜか見る気がしない・・・)
でもこれはぜひ映像でも楽しみたいと思いました。
私の読んだ「決定版」は訳が新しくなっているだけでなく、
クラークの長い前書きも追加されています。
その文章を読む限り、映画と小説を読むことでそれぞれを
補完しあえるようです。


決定版 2001年宇宙の旅 (ハヤカワ文庫SF)/アーサー・C. クラーク

¥840
Amazon.co.jp