手をだして併読していた中の1冊です。
私の印象を一言で言うならば・・・矢沢あいが漫画で描く世界を
昭和40年代辺りにさかのぼって、それを明治の文豪調・・・いや
白樺派あたりかな・・・の文体で描いたって感じでした。
わからないか、これじゃ・・・。
ベースは多分、以前感想を書いた短篇集「晩年の子供」だと
思いますが、どこか日本の明治以降の名作文学に通じるものを
感じました。
好みは別として、試みとしてとても面白いと思います。
いわゆる思春期の性の目覚めもテーマの一つだと思いますが
どうもこのあたりの詠美特有の描写は私好みではなくて
なかなかページが進まなかった感じ。
でも終盤、ジャズ喫茶以降の描写はやはりさすが・・・・。
私にとってのこの1冊には成り得ないけれど、
惹きつけられる部分がいつも必ずあるんですよね。
ある大人の女性を評して「目に見えない手間をかけられた
人なんだ」なんてあって、こういう素敵な描写がやはり彼女!
たまりませんねえ、ホント。
これだからやめられない・・・・って感じです、山田詠美。
学問/山田 詠美

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