吉田秋生の「BANANA FISH」をきっかけに再読しました。
でも記憶にうっすらと残っていたのは「笑い男」くらいでした。
今も正直わからないことだらけですが、昔はもっと理解できなかったと思う。
そのほかにもサリンジャーの本は持っていましたが、いずれも私の大事な1冊には
20代に読んだころにはならなかったようです。
ただ、この作家を村上春樹が好きだというのはなんとなくわかります。
うっとうしい部分もあれど、確かに心惹かれるものがあるのです。
それはひとつひとつの小説がどうというよりも、私について言えば、
サリンジャーの持つ自意識とか美意識に共感を覚えるような気がします。
こうでありたい、というよりも、こうあってはならない・・・という
ちょっと否定的な意識がより強いような気がしますが、このこだわりぶりは
私なりにわかる気がするし、その部分に関してはまことに僭越ながら
私自身が村上春樹に対してもまた、感じているのと同質のもののようです。
唐突に見える終わり方など、もしかしたら(意にそぐわないことを
するくらいなら、無しにしまったほうがマシ)なんて思ったり
しているのかもしれないな、なんて思いました。
なんだか感想にならないけど、読みながら、そして読み終えて感じたのは
まずそんなことでした。
「バナナフィッシュにうってつけの日」の男性は「フラニーとゾーイー」に
出てくる人物だそう。今読んでる本が終えたら、読んでみます。
翻訳はこの時代の米文学ではおなじみの野崎孝さんで、いい感じです。
で、漫画の「BANANA FISH」のあとがきに片岡義男さんが寄稿していらして
片岡さんも「バナナフィッシュに最適な日」として翻訳したことがあるのだそう。
でも原稿を読む限り、何の思い入れもなく依頼のままに訳したという印象で、
読んでみたいという意欲はわかないですね。
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