「ナイン・ストーリーズ」   ジェローム・デイヴィッド・サリンジャー   | MARIA MANIATICA

MARIA MANIATICA

ASI ES LA VIDA.

この夏、実家から持ち帰ってきた古い本です。
吉田秋生の「BANANA FISH」をきっかけに再読しました。
でも記憶にうっすらと残っていたのは「笑い男」くらいでした。

今も正直わからないことだらけですが、昔はもっと理解できなかったと思う。
そのほかにもサリンジャーの本は持っていましたが、いずれも私の大事な1冊には
20代に読んだころにはならなかったようです。
ただ、この作家を村上春樹が好きだというのはなんとなくわかります。
うっとうしい部分もあれど、確かに心惹かれるものがあるのです。

それはひとつひとつの小説がどうというよりも、私について言えば、
サリンジャーの持つ自意識とか美意識に共感を覚えるような気がします。
こうでありたい、というよりも、こうあってはならない・・・という
ちょっと否定的な意識がより強いような気がしますが、このこだわりぶりは
私なりにわかる気がするし、その部分に関してはまことに僭越ながら
私自身が村上春樹に対してもまた、感じているのと同質のもののようです。

唐突に見える終わり方など、もしかしたら(意にそぐわないことを
するくらいなら、無しにしまったほうがマシ)なんて思ったり
しているのかもしれないな、なんて思いました。

なんだか感想にならないけど、読みながら、そして読み終えて感じたのは
まずそんなことでした。

「バナナフィッシュにうってつけの日」の男性は「フラニーとゾーイー」に
出てくる人物だそう。今読んでる本が終えたら、読んでみます。

翻訳はこの時代の米文学ではおなじみの野崎孝さんで、いい感じです。
で、漫画の「BANANA FISH」のあとがきに片岡義男さんが寄稿していらして
片岡さんも「バナナフィッシュに最適な日」として翻訳したことがあるのだそう。
でも原稿を読む限り、何の思い入れもなく依頼のままに訳したという印象で、
読んでみたいという意欲はわかないですね。


ナイン・ストーリーズ (新潮文庫)/サリンジャー

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