「おそらくは夢を」  ロバート・ブラウン・パーカー | MARIA MANIATICA

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ASI ES LA VIDA.

ハードボイルド読むときは、いつも時間がかかりますが
今回もやはり1週間ほどかかってしまいました。
ようやく読了できて満足じゃ~♫

先日読んだチャンドラーの「大いなる眠り」の続編として、
というよりもオマージュとして(という方が良さそう)、
自他共に認めるチャンドリアンのパーカーが書いた作品です。

パーカー、チャンドラー共にまだ3、4冊ずつしか読んでいない
初心者ですが、チャンドラーよりパーカーの方が読みやすいとは
思っています。
で、これも例外ではなかった(その割に時間が掛かったけど)。

男同士のやりとりはマーロウのハードボイルド。
でも女子(?)がらみではスペンサーのハードボイルド、
というのが私の印象です。
女性相手の場合には、いくら彼女が魅力的でもギリギリの
ところで踏みとどまらないと、マーロウが安っぽくなって
しまうような気がします。
これは私が女性だから思うのかもしれませんが、
なんとなく読者へのサービスが過剰な印象。
ハードボイルドには痩せ我慢が大切なのさ。
ということでそこが少々不満だったかな。

それからあとがきにもありましたが、この作品では敵が
大きすぎたこと、そしてその敵がマーロウひとりを相手に
もたもたしすぎるところが何となくB級活劇風でしたね。
でもこのちょっと時代遅れ風でスマートすぎないところが
ハードボイルドの要件なのかも、とも思います。

どちらの作家の作品もそれほど読んでいないので、
逆にあまり先入観を持たずに読めたのは良かったかな。
読みやすさという点では「大いなる眠り」よりもこちら、
概ね楽しく読み終えることができました。

チャンドラーが描く世界はモノクロで、女性にだけ色が
ついている感じ。
でもパーカーが語るとオールカラーでイメージできるのが
不思議なところ。
それは私だけのイメージなのかしら??

ところでこの作品の原題は「PERCHANCE TO DREAM」。
「大いなる眠り」~「おそらくは夢を」・・・眠りと夢
きっと何かありそうだと、いくつかの英単語を入れて
検索してみたらシェイクスピアの名前と「To sleep,
perchance to dream.」という文章が・・・。
ああ、もしやこれは?と思ってさらに調べて見たらやはり
「ハムレット」のあの有名な一説でした。
そうだったのか・・・。

もしかしたらもう知られていることかもしれないけれど、
私には初めて知ることでした。
やっぱりシェイクスピアは読んでおきたいですね。
きっと、わかる方なら「おそらくは夢を」というタイトルを
見ただけで(おっ!シェイクスピアじゃん。)なんて
わかっちゃうわけですよね。いいなあ、それ!

というわけで、ワタクシ的にはこれがわかっただけでも
この作品を読んだ甲斐があったというもの。大変満足です。

10/14追記
1)SANTA ANAがメヒコ特有の熱風を表す言葉であることを
初めて知りました。直訳すると聖アナ(アンナ)ですが。

2)メヒコ人がスペイン語で「Si, senora.」という
セリフがありましたが、日本語訳ではカタカナで
「シ、シノーラ」となってしました。
でもこれではイタリア語。
スペイン語読みでは「シ、セニョーラ」が正しいです。
揚げ足取るつもりはありませんが、ラティーノが登場する
アメリカ小説はとても多く、この手の間違いはそれに比例して
かなり見かけます。
やはり正しい読み方(発音)を調べることは必要なのでは??
米文学を翻訳する以上、スペイン語は完全には切り離せない
みたいです。

To be, or not to be: that is the question:
Whether 'tis nobler in the mind to suffer
The slings and arrows of outrageous fortune,
Or to take arms against a sea of troubles,
And by opposing end them? To die: to sleep;
No more; and by a sleep to say we end
The heart-ache and the thousand natural shocks
That flesh is heir to, 'tis a consummation
Devoutly to be wish'd. To die, to sleep;

To sleep: perchance to dream: ay, there's the rub;
For in that sleep of death what dreams may come
When we have shuffled off this mortal coil,
Must give us pause: there's the respect
That makes calamity of so long life;
For who would bear the whips and scorns of time,
The oppressor's wrong, the proud man's contumely,
The pangs of despised love, the law's delay,
The insolence of office and the spurns
That patient merit of the unworthy takes,
When he himself might his quietus make
With a bare bodkin? who would fardels bear,

To grunt and sweat under a weary life,
But that the dread of something after death,
The undiscover'd country from whose bourn
No traveller returns, puzzles the will
And makes us rather bear those ills we have
Than fly to others that we know not of?
Thus conscience does make cowards of us all;
And thus the native hue of resolution
Is sicklied o'er with the pale cast of thought,
And enterprises of great pith and moment
With this regard their currents turn awry,
And lose the name of action. - Soft you now!
The fair Ophelia! Nymph, in thy orisons
Be all my sins remember'd.


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