いや本日すでにアップしてある2冊分のレビューは昨日読んだもの。
これは本日分の、村上春樹のエッセイです。
私が村上朝日堂として初めて読んだ女性誌のエッセイがこれだったのですね。
ようやくわかりました。雑誌「クラッシ―」に2年間連載されていたものだそう。
かなり薄手の文庫で、しかも水丸画伯の絵に毎回両見開きページを使っているので
実際の文章部分はかなり少なく、あっという間に読み終わってしまい少々物足りない。
読者のキレイどころをイメージしてのエッセイなのか、週刊朝日などに連載していた
村上朝日堂シリーズとはどこかが微妙に異なります。
なんとなく遠慮がちと言うか、こんなこと書いて大丈夫?みたいな印象がある
・・・などと言ったら考えすぎかしら。
でも、ずっとあとになってからのこのシリーズは、もちろん掲載誌にもよるけど
村上春樹の考えていることがもっと明らかにされてきているように思えるし、
このエッセイ書いていた頃は多分34,5歳ですから、やはり試行錯誤的な
ところがないとは言えないんじゃないかと。
これを雑誌で読んでいた頃の私は「こんな文章書いていて、ご飯が食べられるなんて
いいな~」と恐れ多くも思っておりました、スミマセン。
でも結構これは好きだったと思いますよ。
基本的に、村上春樹の好きなものってわりと私も好きなものなのですね。
だから「ノルウエイの森」を読んでみようと言う気にもなったわけだし。
・・・そして、ゲゲ~っと思って昨年翻訳ものを読むまで、全く近寄りも
しなかったわけですから、タイミングって妙なるものですね~。
それにしても、安西水丸さんの一見単純に見えるイラストも実にいいですね。
村上春樹仕様にするために日夜、雑貨イメージなどをストックしているのか、
それとも元々ご本人がお好きなのかわからないけど、本文とイメージが
重なるようで重ならないような微妙なイラストそれぞれには、本当に
小洒落た素敵なものがいっぱい。
影は一応付いているものの、立体感とか遠近感など全くありません。
でも黒地にスパッと描かれたレモンの黄色なんて、ビビっとキますね♪
この表紙の装丁も安西水丸画伯の手によるものです。かわいい~♪
尚、表題作「ランゲルハンス島の午後」は、文庫収録時の書き下ろしだそう。
ランゲルハンス島の午後 (新潮文庫)/村上 春樹

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