レイ・ブラッドベリの短編を萩尾センセーが漫画化したもの。
ブラッドベリの短編集と同じタイトルですが、実際の萩尾作品では
「スはスペースのス」と「10月はたそがれの国」の2冊も加えた
3冊から、合計8編が選んであります。
どれも、ブラッドベリの美しくも儚い世界を踏襲していると思います。
この1作・・・というのは選びがたいですが、やはり私は
万世節の日を描いた「集会」がたまらないですねえ。
う~ん、とはいえどれも捨てがたいな!!!

(↑集英社版のこれは既に絶版。解説は中島梓さんです。)
昭和52~53年、週刊マーガレットにとびとびで連載された後、
同年にコミックスを飛び越えて、いきなり文庫化されたようです。
どういう理由によるものだったのでしょうね。
また、文庫版では週刊誌への発表順に作品が並べられているわけではないようです。
(下段に連載時期と出典を追記しました。)
最初が表題作の「ウは宇宙船のウ」で、最後が「宇宙船乗組員」です。
「ウは宇宙船のウ」は、宇宙船乗組員を目指す子供たちふたりのお話です。
いつか自分にも迎えがやってくることを信じている子供のうちのひとりに
ある日、本当に迎えがやって来る。
家族や友人との数年の別れの辛さを味わいながらも、未来を夢見る・・・
そんなお話でした。
一方「宇宙船乗組員」は、すでに宇宙船乗組員になっている男性と
その家族のお話。
数か月ごとに帰宅する父とその仕事、そして乗組員としての制服にも
憧れと誇りの念を持つ息子。
でも少年の母はもう夫に宇宙には行ってほしくないと思っており、
父親を地球に引き留めるための協力を息子に請うている。
今度が最後、と言い残し旅立った父は宇宙で事故に会い帰らぬ人ととなる。
いつも母は、父が事故にあった星を見ることは自分には出来ないだろうと
口にしていたが、父はいずれの星とも衝突したわけではなかった。
父は太陽に落ちて亡くなってしまったのだった・・・以後、太陽を避けて
夜中に暮らしていく母と息子・・・なんてお話です。
冒頭に、宇宙船に対しての不安よりも未来と憧れでいっぱいの少年たち、
そして最後は、ある宇宙船乗組員の運命・・この作品の並べ方にも
意味がありそうな気がします・・・というよりも、この二つの作品を
最初と最後において全体通すと、なんだかひとつの人生みたいですね。
近々レイブラッドべりの原作と萩尾作品を交互に読んでみたいと思います。
あと「スターレッド」もだ。
同日追記:各作品の出典と掲載時期(集英社のしかも週マというのはかなり私には意外。)
ウは宇宙船のウ 『ウは宇宙船のウ』 『週刊マーガレット』1978年14号
泣きさけぶ女の人 『スは宇宙(スペース)のス』 『週刊マーガレット』1978年22号
霧笛 『ウは宇宙船のウ』 『週刊マーガレット』1977年9号
みずうみ 『10月はたそがれの国』 『週刊マーガレット』1977年9号
ぼくの地下室へおいで『スは宇宙(スペース)のス』 『週刊マーガレット』1978年18号
集会 『10月はたそがれの国』 『週刊マーガレット』1978年32号
びっくり箱 『10月はたそがれの国』 『週刊マーガレット』1978年26号
宇宙船乗組員 『ウは宇宙船のウ』 『週刊マーガレット』1978年22号
↓この小学館版は持っていませんが、確かこちらでは「宇宙船乗組員」には
「スペースマン」か「ロケットマン」のどちらかのルビが振ってあったのでは
ないかな・・・。(集英社版はルビなしです)
ウは宇宙船のウ (小学館文庫)/萩尾 望都

¥520
Amazon.co.jp
ウは宇宙船のウ (創元SF文庫)/レイ・ブラッドベリ

¥777
Amazon.co.jp