収録した、こちらも岩波子どもの本です。
ウン十年ぶりに読んだかも。
何しろ初版は昭和29年で、私のこの本自体は昭和45年発行です。
先日も少し触れましたが、アンデルセンの童話って誰にもなじみがあるけれど
かなり暗いお話が多い・・・なんて思っていたところに現れたので読んでみました。
「ナマリの兵隊」
スプーンから作られたナマリの兵隊は25人兄弟。
最後の兵隊だけがナマリが足りずに1本足になってしまいました。
でも職務を果たそうといつも果敢に、何事にも動じず表情も変えずに立ち続けています。
そんな彼は同じ部屋に飾られた紙でできたお城のバレリーナに憧れています。
彼女のポーズがちょうど1本足で立っている様子なので、彼女も一本足だと思っています。
ある日、風のいたずらで彼は窓から転落し、彼を拾った子供の作った船に乗せられ
川を流れ海に出ます。やがて海の中に落ち肴に飲みこまれてしまう。
その魚は釣りあげられ、元居た家の食卓に。そこでもう一度兄弟たちと並び、
憧れの踊り子と再会。
ところが、再び風のいたずらで今度は兵隊は暖炉の火の中に、そして憧れの踊り子も
風に飛ばされ、暖炉の中に。ふたりは見つめ合ったまま燃えてしまいます。
翌朝、女中が暖炉の掃除をすると小さなハートが二つあった・・・と言うお話。
ね~、このお話は何を言いたかったのでしょうか?
純愛?一途さ?運命の皮肉?
若いころのアンデルセンは死ぬ以外に幸せになれない層(つまり貧困)が
ある人たちがいること、またそれに全く関心をよせない人たちがいることを
訴えるため死をテーマにすることが多かったそうです。
・・・ですよね、ハッピーエンドはあまりにも少ない。
また彼自身も性格的にやや偏執的なところがあったようですし、残念ながら
お世辞にも美男と言える要望でもなく、恋が実ったこともなかったようです。
そのあたりが、救われないお話が多い理由なのかも。
なお、私の記憶では「すずの兵隊」だったので、不審に思って調べてみたところ
本来は「すずの兵隊」のところ、このお話が日本に届いた頃はまだ「すず」が
一般的ではなかったため「ナマリ」と意訳したのだそうです。
「おもちゃのチャチャチャ」のナマリの兵隊とてちてた・・はここから来たのかな~??
「長ぐつをはいたネコ」
貧しい父親が亡くなり、遺産想像をしたものの、三男が受け取ったのは猫だけでした。
その猫が大活躍して、三男をお城のお姫様のお婿さんにしてしまうお話。
あまりにもちゃっかりしているので、読み違いかと思わず2度読んでしまいました。
猫は・・・王様に嘘ばかり付いているんですよね・・・で、最後は
魔王もだまくらかして魔王のお城を手に入れて、三男の城だとして
王様に「ぜひ姫の婿に!」と言わしめてしまうのでした。
んんん??なんだこのお話は?
親や友情を大事にしていたからとか、心がきれいだったから「おひめさまを
およめさんにもらいました」じゃないんですね。よくわかんな~い。
何かこう経済の本質だとか政治的手腕の基礎でも伝えようとしているんでしょうか?
短い童話なのに、久しぶりに考えさせられてしまいました。
子どもの頃、東映まんが祭りでこのアニメ見て、サントラ?も持ってます。
で、歌も全部歌えます、今でも~。あのお話は確かこの三男はちゃんと
自分は貧乏な家の出だと、嘘をついていたことをお姫様に告白していたはず。
・・・ってことは、このストーリ-へ共感、違和感をどちらを感じるのかは
国民性の違いなのかしら?シャルル・ペローはちなみにフランス人です。
挿絵はこのシリーズ独特のレトロな感じでなかなかいいです。
ナマリの兵隊 (岩波の子どもの本 4)/ハンス・クリスチャン・アンデルセン

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そしてこれもまた。よしりん、元々好きだったけど最近ははまってるのかも。
でも100パーセントとならないところがやっぱり私なんですね。何故なんだろう。
いずれについても感想はずっと書いていませんが、よしりんの本については
そう簡単には行かない感じで多少、私が準備する必要がある気がする。
あとは今の日本の状況的なものもあり、そのうちまとめて・・・と思ってます。
これは新旧を取り混ぜてセレクトされた作品集で、方向性が見えて面白かった。
ゴーマニズム宣言SPECIAL よしりん戦記/小林 よしのり

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