土屋賢二さんのことは全く知らないし、森氏の作品もそれほど読んだわけではないけれど
立ち読みの際、のぞき見た話題がなかなかおもしろかったので買ってみた。
これも半年くらい放ってあったかも。
土屋氏は気遣いの人なのかな?本人もそう言っているけど、森氏に気を使っているのか
話題をしきりに振っているものの、どうもう上滑りがちな印象。
エリートがあえてエリートでない自分を演じているような感じがしました。
森氏は、驚くほどにマイペースで、自分の世界観がはっきり決まっていて動じることがない。
作品よりもご本人そのものが面白くて、かなり興味がわいてしまいました。
このヘンさと、自意識の貫き具合は実にいいです~。
でも土屋氏にはちょっと手ごわい相手だっただろうなあ。
「いや、別に。そんなこと思ったことありません」みたいなにべもない返事も結構あった。
テーマは文系(哲学)対理系(建築)で、発想も思考も異なる二人のトーク・セッションと
いうことになっているようだけど、さほどその活躍フィールドの違いによる極端な思考の
落差などはなかったように思う。
むしろ、マニアックな趣味を追及するふたりはどことなく似ている。
結局、趣味談議になってしまっていて、まあそれはそれで相当に面白かったけど。
あ、あとミステリィ手法を、それぞれの奥様対策にいかにして役立てるか、なども。
もちろんそれぞれの哲学みたいなものを感じさせる深い部分もあって、そんなところは
やはり感心せずにはいられなかったりもする。
最後におふたりによる短編の書き下ろしがあります。
土屋さんのはもう初めからオチが見えているけど、まあこんな感じかな~という感じ。
で、森さんのは対談を装った短編で、まだ対談の続きなのかと見違えてしまいましたが
なかなか面白かったです。
今回は対談という性質上あらすじもあるわけでなく、ただ私が面白かったと書くしかないけど
機会があったら、読んで後悔することはないだろうと思います。
私自身は結構気に入りました。短いからすぐに読めるし、多分また再読すると思います。
森氏のテンションが低めのエッセイをぜひ読んでみたいと思いました。
人間は考えるFになる (講談社文庫)/森 博嗣

¥520
Amazon.co.jp