バルセロナ サンツ駅 17時30分発の夜行で
グラナダ・コルドバ・セビージャに向かうことになった。
グラナダは私にとって、住む場所としての候補地の
ひとつだった。
日が昇って、車窓から見た風景はずーっと茶色の
荒れた土地で、そこに時々、写真で見たのと同じ
白壁の集落がわずかな緑とともに現れる。
ひゃ~!スペインに来たんだ~!!って感じで
感動の連続で、窓から目を離すことができなかった。
グラナダは、誰もが知っている観光地。
なんといっても、こんなことわざがあるくらい。
Quien no ha visto a Granada,
no ha visto nada.
Quien no ha visto a Sevilla,
no ha visto maravilla.
「グラナダを見ない者は何も見ない。
セヴィージャを見ない者は、素晴らしい物を
何も知らない」って感じになりますかね。
ちゃんと脚韻踏んでるところもすばらしい!
でもやっぱり写真もあまりないし、覚えている
ことも少ない。
時間が経過したってこともあるだろうし、
わずか2日間だけだったってこともあるだろうけど。
覚えているのは、
アルハンブラにいたおじさんに入場料を尋ねたら
日本語で「ムリョー」と答えてくれたこと。
で、このおじさんはしばらく後をついてきて
「フンスイ、ミギ、 ライオン、ヒダリ」なんて
教えてくれたこと。
この後、職員の人と話していたら、
「スペインのギターは有名だけど、日本人はもっと
うまくなって帰る。あなたもスペイン語話すし、
日本人はインテリだ。」なんて言われた。
そこに先ほどのおじさんがやってきて
「スペインゴダメダメ、ニホンゴニホンゴ!
カレハハゲ、ワタシモハゲ」なんて言うので
みなで大爆笑したこと。
アルハンブラからの坂道を降りてきた
突き当たりに公園があってちょっと休んでいると
周りに子供たちが集まってきた。
「英語で話せば・・」なんて聞こえてきたので
「スペイン語、少しなら話せるよ」というと
「僕はすごくスペイン語話せる!」なんて
言いながら、わーっと声を上げてよってきて、
矢継ぎ早の質問をされたこと。
楽しかったので「皆で写真を撮ろうか」というと
「僕が、僕が」と取り合いになり、残りのフィルムを
全部使われてしまって、ちょっと怖かった。
跡で現像してみたら、ブレてたり、頭がちょん切れ
ていたり、ひどかったけど、まあこれも面白いかな。
レストランに行って,デザートを頼むとき
arroz con lecheというのがあり、頼んでみた。
lecheは牛乳と知っていたけど arrozが何だったか
覚えてなくて、賭けだったわけだけど、
出てきたのはライスプディングだった。
arrozがお米だってことは、あれで完璧に
覚えたことでしょう。
甘いお米を牛乳で・・・衝撃の味だった。
スペイン語学校の知人で、登山仲間でもあった
画家の方が住んでいたので尋ねてみたけど
留守だった。メモを置いてきたらそれを頼りに
ホテルを訪ねてくれたそうだけど、もう私たちは
コルドバに行った後。
それでもずっと後になって、サラマンカまで
ご友人たちと遊びに来てくれて、それがまた
私が最高に孤独な時だったからものすごく嬉しかった。
今もスペイン人の奥様と、グラナダにお住まいのはず。
お幸せをお祈り申し上げます。
バルセロナは大都会のためかほとんどなかったけど、
ここでは、以後スペインで年中出会うことになる
ピロポというのが盛んに行われていた。
すれ違いざまに女性に声をかけるわけ。
「チーナ(彼らにはオリエンタルは全て中国人。)」
「ニッポン!」
「ビジーン」
などなど・・・気候も良いし、人も親切で、風光明媚。
かなり気に入ったけど、でもやっぱりここ!って
気持ちにはならなかった。
フラメンコを見せるタブラオなんかもたくさんあったけど
誰も行きたいと言い出さなかった。
店構えが怪しげってのもあったと思うけど、
とにかく行かなかった。
スペインに行く前はアントニオ・ガデス舞踊団を
はじめとしたフラメンコも見ていたし、感動もしたけど
やっぱり私にとって、これを見るためにスペインに
行くのさ!!というものではなかったな。
それに多分、自分の中で、(自分は観光で来たでは
ない)って言う思いがあったのだと思う。

↑アルバイシンの丘に続く、坂道の夕暮れ。
ほんものは相当にきれいだったよ。
なにしろこの私がカメラ向けるくらいだ。
グラナダに2泊し、コルドバで2泊。
そこを拠点にセヴィージャにも日帰りで行った。
でもやっぱり写真が少ないし、覚えていることも
少ない。
ただ、コルドバのメスキータは、超私好み!
これこれ↓うーん、最高の美しさ。

Ⅰ~Ⅴまで書いてみて、だんだん自分の嗜好が
明らかになってきたような気がする。
われながらオモシロイ。
これは、巨匠ナルシソ・イエペス様のアルハンブラ。
ワタクシ的にはもう少しゆっくり目の演奏が好み。
でもスペインに行く1年前に行った
スペイン国立管弦楽団とのコンサートは
イエペスさんも楽団員もものすごく良かった。
(この乏しい表現・・・なんとかならないかしら)
遊び心あふれる楽しいもので、今でも私の行った
クラシックコンサートの中では不動の第一位だ。
アリカンテの友人は、生前のイエペスさんに
会う機会があり、彼の前で曲を弾いたことが
あるそう。
私はそんなことをまったく知らずにいたけれども
がんばっていたんだな、と後になって知り、
うれしくて涙が出ました。