不忍人之心 | 芳村直樹のブログ

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シャンソン歌手・芳村直樹の自己満足的な東京散歩ブログです


NHK大河『光る君へ』感想ブログです
注意⚠️ネタバレ

 画像はNHK公式サイトから借用
 役者名は敬称略にすることをお許し下さい



源倫子サロンの女子会は
勉強会と言っても
倫子自身も言っていたように
一流貴族の姫たちの
「あ・そ・び」的な雰囲気が感じられました

それとは対照的に
男子の勉強会は
かなりレベルが高そうですよねー

当時の貴族の男子にとって
漢詩や儒学の知識は必須の学問
難しく厳しい勉強会だったことでしょう

それだけ、この時代
男女の立場の違いが
明らかだったわけです



藤原公任(ふじわらのきんとう)


藤原公任が

孟子『不忍人之心』の一節を読みます

僕には、ちんぷんかんぷんなので

簡単に調べておきます


画像はWikipediaより借用


孟子(もうし)は

(紀元前372?〜紀元前289?)

中国戦国時代の儒学思想家

朱子学では孔子に次ぐ重要な人物です


孟子の言行は

書物『孟子』にまとめられています

性善説を主張し

仁義と民本による王道政治を目指しました



公任が読んだ

孟子曰「人皆有不忍人之心」

孟子いわく「人皆、人に忍びざるの心あり」

これは、為政者の鑑ともいえる内容です


現代語訳を載せておきます


人は皆

人の不幸を見過ごすことが出来ない

気持ちがあります

古の王は

人の不幸を見過ごさないようにする

政治を行っていたのです


人の不幸を見過ごすことが出来ない心をもって

人の不幸を見過ごさない政治を行えば

天下を治めることは手のひらで容易く出来ます


人は皆、

人の不幸を見過ごすことが出来ない心を

もっているという理由は


いま仮にある人が

子供が井戸に落ちるのを見たならば

皆はっと驚いて憐れみ傷ましいと思い

助けようとするでしょう


(助けようとするのは)子供の父母と

接点を持とうとしているからではありません

世間や友人に褒められようと

しているからではありません

(子供を助けなかったという)非難を受けるのを

嫌がるからするのではありません


以上のことをもって

この件を考えてみると

憐れみ傷ましく思う心が無い者は

人ではありません

自分や他人の不善を恥じ憎む心が無い者は

人ではありません

へりくだって譲り合う心の無い者は

人ではありません

物の良し悪しを分別する心の無い者は

人ではありません


憐れみ傷ましく思う心は、仁の糸口です
自分や他人の不善を恥じ憎む心は、義の糸口です
へりくだって譲り合う心は、礼の糸口です
物の良し悪しを分別すふ心は、智の糸口です

人にこれら4つの是の糸口があることは

人にあたかも両手両足があるのと

同じことなのです


藤原公任と藤原斉信(ただのぶ)


つまり

孟子は

指導者たるもの

人の悲しみに寄り添う政治を行うべきである

ということを

説いています


力尽くで民を押さえつけるのではなく

慈愛の心で民を治める

これこそが指導者のあり方です


それなのに

それなのに

あらま恥ずかしい

ドラマ前半部分で

右大臣ときたら

これとは反対のことを

道長に指導していたわけですよ



「民の暮らしなど知らんでよい

 なまじ知れば

 おもいきった政などできぬ」


兼家は

施政者は冷徹であるべきだと

思っているのでしょう


ま、

何度も書きましたが

昔も今も

わが国の政治家なんて

そんなものなのかもしれません





今回は、こんなところです。。。