1月14日は何の日でしょうか?
今から65年前こと
1959年1月14日
新聞、テレビで流れてきた一つのニュースに日本中が沸き立っていた。
9歳だった私もその知らせに心をおどらせたのを覚えている。普段は大人の見るものと思っていたテレビニュースをあんなに熱心に見たのは初めてだった。
テレビ画面に写っていたのは南極観測隊の帰還の様子
隊員たちが日本の国土を踏みしめる映像の中
報道カメラがフォーカスしたのは一匹のカラフト犬
名前はタロ
1957年2月第一次観測隊が南極に派遣される。カラフト犬22匹を連れて行った。
しかし砕氷船「宗谷」が氷にはばまれて動けなくなるに至り、
第二次観測隊は越冬を断念。
そのとき連れ帰ることのできなかったカラフト犬15匹は
鎖につながれたまま置き去りにされた。
1958年2月のことだ。
隊員たちは犬の生存を期待してはいなかったが、
翌1959年1月14日
第三次観測隊が昭和基地に着いたとき彼らが見たのは、
二匹のカラフト犬の姿だった。
タロとジロと呼ばれた若い二匹のカラフト犬は鎖をちぎり生き延びていたのだ。
タロとジロという固有名詞が日本中を駆け巡り、小学生だった私の心にもしっかりっ刻まれていた。
***
年月がながれ、私は思わぬところで
タロ・ジロ
という固有名詞と出会うことになる。
素敵なフルート奏者の女性と親しくしている。
彼女との会話によくでてくるパートナー。呼び方がおもしろい。
ジロ―くんが ジローくんが
と彼女は言う。
あるとき、お父上がその名前をつけたわけを知った。
ジローくんのお父上は南極観測隊に同行した医師であった。
40過ぎて結婚なさり、生まれた男の子お二人につけた名前が
太郎と次郎
父上が勝手につけたと母上はすこし不満そうであったとのこと。
ジローくんもフルート奏者として数々のコンサートで活躍中。
ちなみにタローくんは外科医としてある病院の院長をなさっているとのこと。