千ヶ滝西区自治会の忘年会が終わる。
片付けを手伝っていると
乗ってく?
と言ってくださる声。
千ヶ滝で生まれ育ったK子さんからのライド(give a ride)のオファー
ありがとうございます!
歩いて帰るつもりだったんですけど
助かります!
***
千ヶ滝西区別荘地を横断している通称1,000メートル林道
山の中腹をめぐる道だ。くねくねと急カーブが多く、運転に苦労する。
K子さんは慣れた手さばきでハンドルを切っている。
好奇心から聞いてみた。
運転免許はいくつのときにおとりになったの?
K子さんは私より八歳年上だ。私の世代でさえ、当時、女は運転なんかするべきでないという風潮があった。
なんと、K子さんは18歳で運転免許を取ったというのだ!!
そこから彼女の若い日の思い出話しが始まった。
父親を亡くしたのが12歳のとき。
運転免許を取りたいといったら母は反対したが、
17歳で自動車学校に通い始めた。
お金がなかったので平原駅から自動車学校まで歩いて節約した。
一回で合格。
免許を手にしたときちょうど18歳だった。
それから六十年あまり。
車を運転できなかったらこれまでやってこられなかったと思う。
千ヶ滝で商店をいとなみ六十年。最初のころはこのあたり一帯への配達が商売の中心だったという。
オートマの車なんて乗ったことがないというK子さん。
ギアチェンジの慣れた手つきを見ながら私の運転歴を比べてしまった。
40歳近くになってアメリカで運転を習った。最初から路上運転で、細かい技術は全く教えられずなんとか免許をとり日本の運転免許に書き換えて30年。
オートマ車でさえおぼつかない私の技術を再認識。
次回の免許更新には高齢者講習があるという知らせが届いたのは一か月前。
ここで免許を返納しようと心が決まった。