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大学教授/研究者という立場にいたので所有した書籍の数は確かに多い。
洋書、和書、地図類、図版、年表などなど。
全部を隅から隅まで読んでいるわけではないが、
論文や著書を書くのにテーマと関係するテクスト(本や論文)を丁寧に読む。
自分の論考の中でそれを引用し、分析し、議論を構築していくためだ。
大学は退職したが、研究者をやめたわけではない。
むしろ物を書く時間をこれまでよりとっている。
手元に置く書籍と手放す書籍の見極めが難しい。
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手放した書籍たち①
2019年3月に退職し、25年間使った研究室を引き払った。両側の壁の本だな一杯にあった書籍たち。
最初に手配した行き先は教え子たちのところだった。私の研究室で大学院の授業をうけて研究者になった教え子たちも、専任教員となって自分の研究室を持っている。
作家の全集(Mark Twain全集、Henry James 全集)や厚さ8センチもあろうというコンコーダンス、Oxford English Dictionary 21巻などは、全国各地の大学の研究室に移動した。
手放した書籍たち②
書籍を買いとる業者は多い。しかし、洋書となると需要も少ないので買取りをしてくれるところは限られる。八王子にある洋書専門の古書店へダンボールで20箱くらいは送っただろうか。
日本語の本は買取業者に送ったが、これも研究書であれば次の買い手も同業者という予測もたつ。同じ分野で興味を持ってくれる人の手に渡ることを祈りつつ、これまたダンボール30箱くらいは送っただろう。
手放した書籍たち③
書籍を手放すのに特殊な形態がある。
物質として・紙としての本は手放すのだが、
それを電子書籍にしてくれる業者がある。
BOOK SCAN
書籍を送るとそれを裁断して読取りファイルにして保存する。
↓ こんな風に
仮想空間としての私の本だなにはデジタル本が並ぶというわけだ。
見たいときはいつでもクリック一つで読むことができる。
重要だと思う頁をプリントアウトすることも可能。
手放さなかった書籍たち
自分が書いた本、
自分が翻訳した本、
自分が編著として作った本、
自分の研究テーマである作家のテクスト、
読みつくし、書込みを書き尽くしたテクストたち。
自分の手あかがついたこれらの書籍とこれからも一緒に過ごすだろう。
これらは、代沢の住まいから、横浜か軽井沢へ移動させる予定。
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書籍たちの断捨離は現在進行中だ。すべてを手放す日はこないだろう。
原稿を書いたり講演をたのまれたりするので基本的なテクストは残しておきたい。
来年は書籍出版の予定がすくなくとも3冊はある。
本たちとのおつきあいはこれからも続く。
ネット空間で読む本も多くなってきたが、
紙の手触りを感じつつ、
テクストに自分の手で書込みをしながら読む。
研究者として50年以上やってきた行為はやめることができない。