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大津波を受け止め、折れたマングローブ
インドネシアのスマトラ島と言えば「スマトラ沖大地震」と「大津波」を想起する。
スマトラ島の北西海岸にあるアチェ州はその大きな被害を受けた。
アチェにほど近いニアス島にも津波は押し寄せてきた。
津波で破壊された地域を訪れてみた。
その村には、美しい砂浜と壊れた教会以外は何も残されていなかった。
ところが、そのすぐ近くであるにもかかわらず、集落全体が無事に原型を留めている村があった。
海岸線に出てみると、多くのマングローブが高さ1.5メートルの所で折れていた。
つまり1.5メートルが津波の高さ。
マングローブが津波を受け止め、しなり、折れることで、村を守ったのだ。
マングローブの「大きな根の存在価値」を目の当たりにした村人たちは
それからマングローブ植林を自発的に開始したのだそうだ。


津波から村を守ったマングローブ



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海に森が甦る
バリ島に行くには、たいていの人がデンパサール空港を利用する。
その滑走路のすぐ横にこの新しい森がある。
かつてエビの養殖池を海岸線沿いにつくったため、一度は伐り倒され姿を消した森。
エビ池はつくってもわずか2~3年ぐらいで汚染が進み、養殖できなくなってゆく。
そして放置され、荒れ地になってゆく。
そのエビ池跡に、マングローブの苗を植え、復活させたのが、この若い森。
土壌が劣化していたため、マングローブを根付かせるための様々な試行錯誤が繰り返された末の成果だとか。
地球に明るい未来を甦らせてくれる予感が、ここには満ちている。


バリ島の植林マングローブ
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海の街路樹
インドネシアのジャワ島北海岸に、インドラマユという街がある。
海に面し、エビやカニなどの養殖池が海岸線に並ぶ。
かつてはマングローブの森が一面に広がっていたところ。
全部切り倒して養殖池をつくったのだ。
しかし、村から沖に出る舟着き場のまわりには
波に揺られながらマングローブが残っていた。
高波から舟や舟着き場を守るためだ。
舟が沖へ向か水路に沿って
マングローブが街道の街路樹のように並んでいた。
少しはマングローブの役割が分かっていた人々が伐り残したのだろう。


インドラマユのオオバヒルギ
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豊漁を約束する大きな根
フィジー・ビチレブ島の北海岸にナットゥトゥという名の漁村がある。
半農半漁の村。
棒で海面をたたいてサカナを追い込み、漁網でサカナを囲い込む漁法が使われる。
あまり沖合に行かず入江から少し海岸線を出た所がポイントだ。
漁師たちは筋肉隆々。自らも漁場に飛び込み、
奇声を上げながら、腕でしぶきを立ててサカナを寄せてくる。
こんな原始的な漁ができるほど魚影が濃いのは
大きな根を水中に垂らすマングローブのおかげ。
魚たちがすくすく育つ「水中の安全な空間」を提供しているからだ。
しかも、マングローブの葉は水中に落ちて植物性プランクトンの豊かな海をつくりだす。
それを餌に動物性プランクトンが増え、それが魚たちの餌になる。
マングローブは、魚たちに住まいと食事を与えてくれる「母なる森」なのだ。


フィジー・ナットゥトゥ村のマングローブ
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マングローブが珊瑚礁を育てる
マングローブがあることで珊瑚礁が守られている。
というのも珊瑚礁は陸地から流れ出てくる砂や泥をかぶると死滅してしまうからだ。
マングローブは、その発達した根で、
陸地が波による海岸浸食を受けるのを防ぐだけでなく
陸地の泥や土が海に流失してしまうのを、
海岸線で食い止める役割を果たしているのだ。
マングローブと珊瑚礁の間には
さらに海草(シー・ウィード=海藻ではない)と呼ばれる植物があり
この海草原も砂の流出を食い止めている。
珊瑚礁の育つ美しい海はマングローブと海草のおかげなのだ。


07新聞photo-7-500kのコピー
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地球の明日をつくる協奏曲
前日植林したばかりのマングローブの苗が、満潮の寄せる波に揺れている。
水平方向に伸びる幾重もの波の陰は、ちょうど五線譜。
マングローブの若葉と茎の影がオタマジャクシ。
ふたつが重なり合って楽譜のようなシルエットをつくる。
地球の明るい未来を予感させてくれる曲想が浮かび上がってくる。
これから10年経てば、成長の早いマングローブが大きな森になり
二酸化炭素を他の木々の何倍も吸収・固定化して
温暖化の波を波打ち際で防いでくれる。
私たちはもっとマングローブを植えなければいけない。
この美しい朝焼けに誓った。


フィジー・マングローブの苗と朝焼け
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水平線まで広げよう「海の森」
かつては熱帯・亜熱帯の海岸を埋め尽くしていたマングローブ。
薪や炭など燃料として伐採され、その森林面積は半分以下になってしまった。
アマゾンの森がなくなって地球の酸素が足りなくなると言った報道はしばしばあるが、
マングローブは報道ネットワークが充実する前に伐られた場合が多いせいか、
その伐採現場の生々しい映像はほとんどお目にかからない。
海に育つマングローブは、灌漑のための巨額なインフラ投資がいらない。
熱帯・亜熱帯の海岸に「海の森」を復活させるには、
この地域の人たちへの植林教育が最重要ポイント。
現金収入の少ない地域でもあるため、
植林への人件費提供も「海の森」復活には有効な手段だといえましょう。


ロンボク島ギリスラ・マングローブの苗と成木
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300年、最前線で戦ったタケノコ
300年は生きてきただろう大きなマングローブの回りに放射状に無数に広がり、
筍(タケノコ)のような形状で海底を突き破って生えてくる
ハマザクロの気根群。
マングローブが酸素不足になる時間をできるかぎり短くしようと
潮が満ちてきても海面下に隠れないよう背伸びして息をしてきた。
マングローブのシュノーケルとでも言えるだろうか。
他のマングローブよりも一番波打ち際、海側に育つハマザクロならではの生存法。
最前線でカラダを張りつづけるには、息切れは禁物、というわけだ。


ミンダナオ島の気根群
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海の中に「母」がいる風景
海の中で生け花をしたような風景は、マングローブの塩水中で育つ能力から生まれています。
普通の植物だとすぐに枯れてしまう環境ですね。
大きく発達した根は「支柱根」と呼ばれています。
この根が海底の砂や泥をしっかりとつかみ、波にさらわれないようになっています。
根が海中でつくりだす空間は「生命のゆりかご」と呼ばれ
カニやエビの幼生や、稚魚たちを、安全につつんで育てる「生命の生産空間」になっています。
日本語でも「海」の中に「母」がある。
(海という漢字の扁や冠を取り除いてみてください)
熱帯・亜熱帯ではマングローブが「海の中にいる母」なのです。


ロンボク島のヤエヤマヒルギ
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地球温暖化に立ち向かう海の防人
マングローブの植林は、砂漠などでの植林と違い、
水遣りが不要のため、灌漑などの設備投資の費用がかからない。
海水が浸る場所で育つので、水をやり忘れて枯らせてしまう事がないのだ。
つまり苗が育つことを阻害するゴミなどを取り除いてやる。
といった人的配慮で、植林の成功確率が格段に高くなる。
しかも、成長がはやいので7年も経てば、立派な森になる。
費用の面・メンテナンスの面・成長の早さの面、
どれをとっても地球温暖化を防ぐためにもっとも効果的な手法が
「マングローブ植林」だと言えましょう。


海の中で根を張るマングローブ