102歳だった

はいからだった祖母
米国型施設に入所し十数年

一年前までは童謡を
ピアノで弾いていた

最上階のレストランでは
お寿司とバニラアイスが定番

寝たきりになっても
お寿司を頬張っていた

ある年の大晦日
職員から虐待を受けた
肋骨を折る大怪我

祖母は心を閉ざし
私達でさえ
近寄れなかった

大阪の叔母と経営者は
知り合い

叔母からは
穏便に済ませたいと言われた

それを期に
頻繁に監視に行くようになった

弟と大阪まで日帰り

短時間で
祖母の全身、部屋中をチェック
もちろん抜き打ち

これでは
手が出せないのだろう

時は流れ…
介護職員が一掃した

きめ細かい介護
新しい担当者Yさんは
優しかった

長身の30代男性
物腰の柔らかい人だ

『ズボンのゴムが伸びました
長い靴下が要ります
プルーンエキスが無くなります』

東京へ
細かに連絡をくれた

お陰で祖母は
事故前の明るさを取り戻し
顔もふっくら
声も出るようになった

そして2年…
突然の入院

それでも頑張っていた祖母は

Yさんが
病院へ駆け付けて間もなく
安らかに旅立った

Yさんが
祖母を抱きしめ泣いた

感謝してもしきれない