転スラ日記と後藤明生と母親と 《三題噺》 | 日本語あれこれ研究室

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 先日、テレビアニメ「転スラ日記」でおれがコンテを担当した回が放送されたのだが、それへの感想をツイッター上に見つけた。ツイート主の東條慎生になりつつあるさんは小説家・後藤明生を研究している先生で、おれは思わず返信した。

 その後のやり取りを、忘備録も兼ねてそのまま掲載する。特に説明はしないので、興味がある方は読んでみてください。

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東條慎生になりつつある @inthewall81 · 5月26日

転スラ日記七話、ようやくミリムが。夏休み親戚の家に来た自由すぎる子みたい。扉ぶっ壊さないと出入りできんのか。ミリムとリムル、並んでると姉妹か姉弟か何かに見えるな名前も似てるし。え、コンテ望月智充じゃん。つまり実質絶対少年だった……? 最後ドカーンと出てくるの笑う。髪型変えてる。

 

望月智充  @fusatora2828 · 5月31日

転スラ日記と関係ない返信ですが。

プロフィール拝見すると、後藤明生の研究をされているのですね。実は私の母親は後藤明生と、福岡県立朝倉高校で同級生でした。明生の小説にチラリと登場しているらしいです。

 

東條慎生になりつつある  @inthewall81

これは興味深いお話ありがとうございます。見てたアニメの制作者さまから後藤明生情報が出てくるのは驚きました。朝倉高校同級生でも女性となると印象の濃い人が思いつかなくて特定難度が高いですね。『四十歳のオブローモフ』に独身教師や未亡人でバーのマダムという人が出てきますけど、違うような。

 

東條慎生になりつつある  @inthewall81

それぞれ川口和子、和田幸子と名がありますけど実名そのままかどうか不明ですしこういう名前の出る人ではないかもしれません。あとは『挾み撃ち』、『夢かたり』『行き帰り』『嘘のような日常』、『八月・愚者の時間』あたりの九州のことが出てくる作品が怪しいかなと睨んでます。

 

望月智充  @fusatora2828

母に電話して確かめたら、母のことが書いてあるのは「大佐の娘」という題名の、エッセイのような短い文章、とのことでした(大佐の娘というのが母です)。 それが載っている本は昔誰かに貸したままなので、書名が分からないなどと言うのです。東條さん、お分かりになるでしょうか?

 

東條慎生になりつつある  @inthewall81

これはわざわざありがとうございます。おそらくですけれど「大佐の娘」というエッセイはありません。しかし代表作『挾み撃ち』で、思春期の主人公の気になる相手が「大佐の娘」です。この人のことではないでしょうか。

 《※このツイートに添えられていた写真を上に転載》

 

望月智充  @fusatora2828

早速に写真までありがとうございます。母も九十近いので、記憶が正確ではないのでしょう。 母は以前「後藤明生は私のことが好きだったのよ」などと言っていたので、きっとこの描写のことだと思います。私も気になっていたので、『挟み撃ち』読んでみようと思います。ありがとうございました。

 

東條慎生になりつつある  @inthewall81

『挾み撃ち』は埼玉県の蕨が舞台にもなっているのでプロフィールにあるように埼玉在住でしたらその点でも面白いと思います。

 

東條慎生になりつつある  @inthewall81

学生時代から何度も読んで評論を書いた小説のヒロイン的な存在が、見ていたアニメの監督さんの母親だったというのはちょっとびっくりするたいへん面白いリンクでした。その言葉と作中の描写からしても確定だと思います。こちらこそありがとうございました。

 

望月智充  @fusatora2828

余談です。祖父は陸軍将校でニューギニアで戦死して大佐に特進しました。私が子供の頃、未亡人である祖母は甘木市の大きな家に一人で住んでおり、そこは母やその兄弟が子供の頃から住んでいた家とのことでしたから、『挟み撃ち』にある「もと将校町」だったのですね。今回は本当に勉強になりました。

 

東條慎生になりつつある @inthewall81

貴重な話、重ね重ねありがとうございます。挾み撃ちは外地で軍人の父を失った引揚者の話でもあります。

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 以上です。印象に残る体験でした。