「がんと言われてがーんとならない人はいないと思うが、もちろんぼくもがーんとなってしばし頭の中まっ白」
と書いてあるのは、ついこの3月に発行された『ガン入院オロオロ日記』(東海林さだお・文藝春秋)。やっぱりがーんとなるのだろうな、とおれも以前なら思っていただろう。
しかし、予想したほどがーんとならなかったんだよな。なぜかは分からないが。
わたくし望月は、今年の1月下旬、「がんの疑いがあります」と医者から言われたのである。
何だか普通に、「そうなんだ」と思ってしまった。
なぜそういう局面になったのかというと、話は去年の11月にさかのぼる。
ピロリ菌の除菌を受けようと思い立った。前に十二指腸潰瘍やってるし、ピロリン絶対いるんだろうし、そろそろ実行しようと決めて、川越市内の胃腸専門病院に行ったのだ。
まずは菌が陽性か(いるか)どうかの内視鏡検査。検査結果は20日後。
12月上旬にピロリンの結果を聞きに行ったら、「ピロリ菌は陽性でした。軽い胃潰瘍があったので先にそっちを治療しましょう」ということで薬を飲むことに。そして、一ヶ月後の今年1月上旬に病院へ行き、再度の内視鏡検査(胃カメラ、かなり苦しいんだよね)。
半月後に再度結果を聞きに行く。
モニターに映る内視鏡カメラの写真を見ながら「胃潰瘍は完治しています」と言われ、さらに映像が背景動画で奥へと進み、一つのコマで停止した。そこは十二指腸の内部だということで。
「ここに何かあって、がんの疑いがあります」と医者が言った。その際に、さっき言ったように「そうなんだ」と感じたわけである。
説明によると、十二指腸がんの疑いがあって、しかも十二指腸にがんが出来るというのはとても症例が少ないとのこと。
まだ腫瘍が小さいので内視鏡手術で取れるかも知れないけれど、その病院では十二指腸の手術ができないので、がん治療の経験が豊富な県内の大病院で精密検査を受けた方がよいということを説明された。さっそく紹介状を書いてもらう。
以上が、現在のがんとの付き合いの始まりであります。
つづく。
<追記> 久しぶりに新しいテーマ(「ガンになりました」)を立てました。ときどき続報を書きます。