「勇者指令ダグオン」の頃・その2 | 日本語あれこれ研究室

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 前回書いた「『勇者指令ダグオン』の頃」に、ちょっとだけ付け足したいと思う。今まで特に発表したことのない内容ばかりなので、サンライズファンには少しくらい興味を持ってもらえるかも知れない。

 

 サンライズの社長(当時)の吉井孝幸さんは、ありきたりな表現ですがとてもいい人でした。おれが「ダグオン」を担当することになった時に飲みに誘ってくれて、その席で監督の心構えとして、三つのことを言われた(もう二十年も経つのだから、ありのまま書こうと思う)。

〇その一

 勇者シリーズは未就学児童が対象であることを忘れないでほしい。

〇その二

 ストーリーを作る上で、ロボット(おもちゃ)を邪魔者にしないでほしい。

〇その三

 佐々門さんはローテーションの一人であり、スケジュールを支える上で欠かせない人なので、認めてほしい。

 

 以上の三点だった。こんなにはっきりと記憶しているのは、吉井さんの話し方がうまかったからだと思う。心に留めた。

 

 ロボットの合体のバンクシーンを演出したのはほぼ全て山口裕司氏、作画は鈴木竜也・卓也兄弟である。「おもちゃを邪魔者にしない」ためにおれが指示した一つは、おもちゃと完全に同じように変形する、という方針だった。

 それまでのロボットアニメは大抵、手の部分は腕の筒の中からスルッとカッコよく出てきていたが、ダグオンではおもちゃの通りに180°折れ曲がった状態からネジで回転する形で出すようにしたのだ。その他のパーツも全てその方式を取った。

 見た目がカッコ悪いかな、とも危惧したが、案に相違してこの方式でやってよかったと今でも思っている。気がついてくれてる人がどのくらいいるかは分からないけれど。

 

 吉井社長との雑談の中で、おれがプリンセスブリンセスのファンだと言う話をしたことがある。そして何と吉井さんは、ギターの中山加奈子の親戚だったのである。

 ダグオンの作業が終わる頃だったか、プリプリ解散コンサートの親戚チケットを譲っていただき、吉井さんの娘さん(高校生)と一緒に武道館へ観に行ったということがあった。ほんとうにありがたい思い出である。

(娘さんは大学卒業後に地方のテレビ局のアナウンサーになったという話だったが、その後どうしているのだろう)

 

 

 画像は、「ダグオン」の後半に掛け持ちしていた「わんころべえ」の台本。よこづなちゃん役で新人だった水田わさびが出演していた。今やドラえもんである。