アニメ映画『ルックバック』について、鑑賞直後の感想を少しだけ書きたいのだが、最近はすぐにネタバレネタバレと言われたりするみたいで、やりにくいような気がするのだ。
ミステリの犯人をバラしたのならともかくとして、以前『タイタニック』の沈没シーンについてネットに書きこんだ人が、「タイタニックが沈没することをバラすなんてネタバレじゃないか」と誰かに批判されてるのを見かけたし。
というわけで一応お断りを。……映画『ルックバック』の中身に触れているので未見の人はご注意ください。
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原作に忠実な映像化である。それでも、原作をふくらませて追加された描写が主に3か所あると思った。
1つは、京本の絵を初めて見た藤野が悔しさのあまり、狂ったようにデッサンの練習をするシーン。
2つ目は、プロになってからの藤野が、編集部から紹介されたアシスタントに関して電話で不満を伝えるシーン。
3つめが中学時代の回想。藤野と京本が共作しながら仲良くなっていく止め絵のシーン(ここが一番泣けた)。
以上の3か所がすべて、「藤野にとってどれだけ京本が大切だったか」を表現していて、つまり原作のテーマを補強する上でどれも大正解な追加であり、これが押山清高監督の才能なのだろうと感じた(他の監督を〝評価〟するなど我ながら口幅ったいですが)。
演出的なことを言い出すなら、この作品の作りには共感・感心する点がいろいろとあったのだが、とても細かくて長い話になりそうなので今回はやめておく。
最期に、河合優実は驚愕の上手さであった。