丸かじりシリーズを全巻持っているのである(文庫本になったところまでだけど)。これは週刊朝日に36年間連載された「あれも食いたいこれも食いたい」を書籍化したシリーズで、全48巻。すべて文庫化されるまであと3冊!
中身はすべてが〝食〟に関するエッセイで、その中には東海林自身が考案したり試作したりした料理について書かれた文章もたくさん含まれているわけである。
それを読んでは、ずいぶん実践してみたものだった。いかにも簡単で旨そうなのでマネしたくなるのだ。
例えば、一番よく作ったのは簡単チャーシューというもの。材料は豚肉のかたまりと醤油だけ。ほか一切使わない。ヘタにいろんな調味料をあれこれしたチャーシューよりも美味で、長男が子供だったころに大好評だった。
それから、カラスミ的なものをタラコや明太子で作る方法。東海林言うところの〝貧乏人のカラスミ〟なるものがあり、材料はタラコか明太子ひと腹だけ。あとは何も要らないが、時間が一週間くらいかかる。これも何度も製作した。
豆腐一丁丼というのもある。豆腐を丸ごと甘じょっばく煮込んでご飯に載せるだけ。鍋の中で豆腐を壊さずに上下を返すことに命をかけなければならない。食感はなかなか独特で、実に豪快な料理。
ゆで卵1個をそのまま口に入れて食べるのも、東海林に教わらなければ一生やらなかっただろう(こいつは料理とは言えないが)。この挑戦ばかりは、やってみなければ分からない予測のつかない体験ができる。
ほかにも、天ぷらそばのかき揚げは最初にソバの下に沈めておいてから食べると美味いとか、どんぶり一つで作れる温泉卵とか、ご飯にバター醤油を載っけて食べる際の一番良い載っけかたとか……。どうでもいいようなことではあるが、どれだけお世話になってきたことか!
そもそも一人の著者のエッセイを100冊以上揃えてるなんて、普通ありえないよなあ。よくぞここまで、何十年に亙って楽しませてくれました。
東海林さだおさんにはお悔やみよりも、多大なる感謝の気持ちを伝えたい。


































