Birth Of The Cool / Miles Davis | 風景の音楽

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“のすたるジジイ”が30~50年代を中心にいいかげんなタワゴトを書いております。ノスタルジ万歳、好き勝手道を邁進します。


令和6年2月6日(火)
Birth Of The Cool / Miles Davis(★★★★★)
ノスタルジ度(★★★★★)
ジャンル:Cool Jazz


Side 1
1.Move
2.Jeru
3.Moon Dreams
4.Venus De Milo
5.Budo
6.Deception

Side 2
1.Godchild
2.Boplicity
3.Rocker
4.Israel
5.Rouge

Lee Konitz(as), Gerry Mulligan(bs), Junior Collins (fhn : A1, A2, A5, B1), Gunther Schuller (fhn : A3, A6, B3), Sandy Siegelstein (fhn : A4, B2, B4, B5), J.J. Johnson (tb : A3, A4, A6, B2, B5), Kai Winding (tb : A1, A2, A5, B1), Miles Davis(tp), John Barber(tuba), Al Haig (p : A1, A2, A5, B1), John Lewis (p : A4, B2, B4, B5), Al McKibbon (b : A3, A6, B3), Joe Schulman(b : A1, A2, A5, B1), Nelson Boyd (b : A4, B2, B4, B5), Kenny Clarke (ds : A4, B2, B4, B5), Max Roach (ds : A1 to A3, A5 to B3)

Recorded Jan. 21, Apr. 22, 1949, Mar.13, 1950
Released by Capitol Records – T-762(mono) / 東芝EMI株式会社 – ECJ-70056(stereo)

昨日の日の入りは17時38分だった。
今朝の日の出は6時53分だ。
東京は大雪で通勤が難儀である。
京都は雪は降らないがまもなく雨が降ってきそうだ。

マイルス・デイヴィスの49,50年録音。
オリジナルはキャピトル、これは東芝の75年復刻盤。
残念ながらステレオ盤。
昔懐かしきジャケット。

長いこと捜していたが中古屋の値段が高すぎて諦めていた。
国内盤でも法外な値段が付けられている。
年末にヤフオクで仰天の格安で落札できたのはラッキーだった。
学生時代に高知のJazz喫茶“木馬”でよく聴いたアルバム。

軽音の先輩にダンモの指南を受けたのは一回生の時だった。
それまでプログレ・ロックやフォーク・ロックぐらいしか聴いていなかった。
高校時代はJazzを聴いたことがなかった。
そもそも“Jazz喫茶”があることすら知らなかったのだ。

高知に来てみると因習的な田舎町の松江市よりずっと開放的で
アタシの青春が花開いたのであった。
八雲立つ山陰地方と陽光が眩しく降り注ぐ太平洋の黒潮地域とは
かくも違うものかとアタシは驚いたものだった。

“木馬”で初めてJazzを聴き、スピーカから流れ出す大音量に酔い痴れた。
何しろ高校時代のアタシのオーディオはまことにシンプルだったのだ。
オンキョーのロクハンを自作の大きな後面解放箱に入れ、
42シングルの自作モノーラルアンプでもっぱら深夜放送を聴いていたのだ。

古いソニーの真空管式オープンリールでラジオ番組を録音して居た。
夜に大きな音で聴くことは出来ず、小さな音でしか聴けなかった。
それでもアタシは“星降る夜の二人”なんてロマンチックな番組を愛聴していたのだ。
アタシは柔らかくて伸びやかなこのシステムに満足していた。

木馬は他の店と比較してみれば大音量ではなかったが
アタシには充分な音量だった。
Jazz喫茶では会話をしてはいけないことも先輩から学んだ。
会話する代わりに煙草を吸うことも覚えた。

マイルスの“Cool”はアタシの若い身体に染み渡った。
スイング・ジャーナル誌やJazz批評誌を読み耽り
ずいぶんと頭でっかちなJazz狂が誕生したのだ。
ジジイになった今、ようやく無心に愉しくダンモが聴けるようになった…。