PIANO A-LA-MODE/Randy Weston | 風景の音楽

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“のすたるジジイ”が30~50年代を中心にいいかげんなタワゴトを書いております。ノスタルジ万歳、好き勝手道を邁進します。


PIANO A-LA-MODE/Randy Weston(★★★★☆)

Side 1
1.Earth Birth(Randy Weston)  5:10
2.Nobody Knows The Trouble I've Seen(Traditional)3:14
3.Saucer Eyes(Randy Weston) 4:18
4.I Got Rhythm(George Gershwin-Ira Gershwin)5:20

Side 2
1.Gingerbread(Randy Weston)2:54
2.Cocktails For Two(Arthur Johnson, Sam Coslow)3:35
3.Honeysuckle Rose(Andy Razof, Fats Waller)6:26
4.Fe-Double-U Blues(Randy Weston)5:34

Randy Weston(p), John A. "Peck" Morrison(b), Connie Kay(ds)

Recorded Spring 1957.
Released by Jubilee ‎Records – JLP 1060 / Fresh Sounds Records JGM1060

朝から暑い。
今日は昨日を超える猛暑との予報。
冗談はよしとくれ。
夏だから仕方がないけれど毎年気温が上がっているんじゃないか。

アタシがガキの頃にはクーラーなんてなかったが
それでも耐えられぬ暑さを感じた記憶がない。
小学生の頃は扇風機もさして必要なかった。
子供が熱に強いのではなく、単にそこまで暑くなかったのだ。

もう一つは“地面”があったことだ。
自宅の前の道路は舗装されてなかったし
畑や雑木林がたくさんあったのだから根本的にチガウ。
まだ七月も半ばなのにこれから先がおもいやられる。

ランディ・ウエストンの五十七年の録音。
FSRからの再発盤だ。
艶ピかの白ボール紙直印刷ジャケットが美しい。
ちと腰が軽く聞こえるは、元々そういう録音なんだろう。

昨日のガーランドのヴァン・ゲルダ録音と比べると
尖った二等辺三角形の録音である。
ピアノが最前面でその後方にベースとタイコ。
ベースの音はオフ録りでやわらかい。

タイコも影が薄く、スネアがピアノにかき消される。
アタシはこういうあからさまに差を付けた録音は好きだ。
いや、ピアニストによるけどね。
レイ・ブライアントでこういう録音は似合わぬ。

ランディ・ウエストン君はロマンチストである。
情緒的な旋律を紡ぐのがウエストン君のよさだ。
トラディショナルの“Nobody Knows The Trouble I've Seen”を
優しく美しく奏でるのはウエストン君らしい。

甘く切ない旋律線を弾いてもヘンに情に流れることはない。
ウエストン君はピアノで旋律を歌うのが実にウマイ。
“Saucer Eyes”はウエストン君の曲で、長いベースソロが入る。
タイコがまことに控えめでヨロシイ。

やはりこれはヴァン・ゲルダが録らなくてよかった。
リー・クラフトのプロデュースで正解だった。
途中で気がついたんだけどこれはモノーラル盤ではないか。
そこでDL-102のプレーヤで掛け直した。

おお、さすがDL-102だ。
中低域がぐいと張りだしてゆたかな音に包まれる。
友人はモノーラルはオルトフォンに限ると宣う。
アタシもそれは認めるが年金生活者には高嶺の花。

アタシはDL-102で満足している。
ウエストン君の歌うピアニズムは若い頃は惹かれなかった。
なんだか中途半端な世俗ピアノと感じていたのだ。
情緒性の本質を理解していなかったのだ。

やっとウエストン君のよさが判るようになった。
甘さのない“Honeysuckle Rose”を聴くと
ウエストン君の渋い解釈がよく判る。
耳障りのよいだけのJAZZは愉しいがすぐに飽きる。

若い頃はウエストン君のピアニズムが軟弱に聞こえていた。
なんとなくモンクの亜流のような感じもしていた。
あれから半世紀も経って聴くウエストン君はいいねえ。
このアルバム、ジャケットで損をしている。

これをジャケ買いする奴は居ないだろう。
全体がベージュ系のソフト路線でこれは失敗ジャケだ。
これは古典的なモノクローム写真でいくべきだったのだ。
ジュビリーはいいカイシャだが、こういうポカもやらかすのだ。

いいの。
ジャケットは裏返しておきゃいいんだ。
アタシは久々にウエストン君を聴いて
暑気払いが出来……いやオンガクと天気は別ものだわさ。