(財)日本ユニセフ協会インタビュー【最終回】「単純所持規制は待ったなし」 | マンガ論争勃発のサイト

(財)日本ユニセフ協会インタビュー【最終回】「単純所持規制は待ったなし」

--この問題は、まだまだ論議の余地があると思うのですが、要望書で早急な対応を求められているのはなぜでしょうか?

中井さん:少なくとも実像の単純所持は待ったなしだと考えています。それこそ、法律制定時から見送りが続いています。ここにきて、販売目的所持を禁止しておきながら、所持を禁じていないのはおかしいと思う。それは、結果的に供給サイドを生かせることに繋がっていると思います。
 また、欧州評議会でも留保はされていますが、問題点は指摘している。そういった議論を始めるきっかけになると考えてキャンペーンを行っています。

--となると、単純所持と漫画・アニメ・ゲームの話をリンクさせたのは、キャンペーンの足枷になっているのではないかと思うのですが。

中井さん:キャンペーンを始める前に、丸谷さん(丸谷佳織衆議院議員)をはじめ国会議員の先生にも何人か相談しました。
 そうやって、政治家の方ともお話をした時、海外の状況を考え国会で議論のテーブルに載せるとき単純所持の話だけでは、議論があまりにも狭まってしまうという意見を頂きました。
 その結果、漫画・アニメ・ゲームも入れさせて頂きました。





--キャンペーンを大きくする意味でも両方を扱うべきだったわけですか?

中井さん:問題を明確にするために、両方いれたほうがいいと判断しました。

--先ほどからお話をお伺いしていると基本的に、対話をしているのはアメリカが中心なんでしょうか?

中井さん:ほかにもスウェーデン大使館ともお話はしています。

--スウェーデン大使館というと担当者は2007年3月に「子供ポルノサイトの根絶に向けて」と題したシンポジウムにも関わっていらしたカイ・レイニウス参事官ですね?

中井さん:そうです。

アグネス・チャンさんのブログはミスリード?

--ところで、(財)日本ユニセフ協会の「ユニセフ大使」である、アグネス・チャンさんが自身のブログで

「アニメや漫画など、特定な人物ではないが、子どもたちに対する性的搾取の映像を容認するというのは、子どもたちを性的な道具として容認すると同じこどです。多くの国はそれを禁止しています。インターネットを通して、国際的な問題になっているのです」
http://www.agneschan.gr.jp/diary/index.php?blogid=1&archive=2008-3-11
と述べています。

 現状、お持ちの情報ですと「多くの国はそれを禁止しています」というのはミスリードになるのではないでしょうか?

中井さん:そうですね。

--署名はいつくらいまで行う予定ですか。

中井さん:11月くらいまでです。第3回の世界会議がブラジルで開かれる予定です。

--賛否両論を含め、問い合わせは来ていますか?

中井さん:ええ、正直思ったよりも少なかったのですが。ただ、ご存じのように我々に直接こなくても(ネット上とかで)話されているようですね。

--MiAU(インターネット先進ユーザーの会:http://miau.jp/ )からは公開質問状が出ていますね。

中井さん:来ています。ただ、お答えするだけの時間的なキャパがないんですけど。
(註:「児童ポルノ問題」だけではなく日常の業務が多岐にわたるため非常に忙しいそうだ)

--具体的に、専門家とか漫画家と会合をもつ予定は?

中井さん:いまのところありません。

--では、秋口くらいまでにそういった企画を考慮にいれるのはどうでしょうか?

中井さん:それは考えられますが、私ひとりでやっているわけではありませんので、呼びかけ人の方々の都合もありますし。個人的意見ですが、各党のPTとかでもそういった時間をとることはあるかもしれません。

--様々な形で対話を進めるということであれば、私共も、ご協力させて頂きたいと思います。
   本日はありがとうございました。

【了】

(取材:永山薫 昼間たかし 構成:昼間たかし 2008年3月19日取材)