りぼんカラーシリーズ21「火の花の丘」牧美也子:作
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ここから下は2020年1月23日紹介記事です

 

火と花の丘 りぼんカラーシリーズ21は『りぼん』誌上で、長期に渡って巻頭まんがを描いた牧美也子作品。本作の発表は、「りぼんのワルツ」1963年5月号 - 1964年12月号の連載が終了した翌月、1965年1月号である。続く連載は、「虹にねがいを」1965年2月号 - 1966年11月号であった。キリスト教が禁教になり、迫害を逃れてたどり着いた地で信仰に生きる人々の愛を描いた名作である。『りぼんカラーシリーズ』はB6版、130頁の別冊ふろくの体裁を定番としていたが、中に三作イレギュラー作品がある。「火の花の丘」はその中の一作であり、98頁の作品であった。

青年次郎と妹のさつきが滝壺のそばで助けた娘の胸元に、兄の次郎が身につけているのと同じクルスが・・・・ふたりの祖父、加平次は他言を禁じ、娘をふたりのいとことしてかくまうという。

娘の名前は由加・・・貿易商京極屋の娘で、一家はキリシタンであった。父母はめしとらえられ、由加は追手を逃れて豊後や長崎の信者を頼ったが、その先々まで追われ・・・・

さつきと次郎、そして加平次の三人も追われる身であることがあかされる。さつきと次郎は兄妹ではなく、また、ふたりの両親もキリシタンであった。次郎の父に仕える身だったさつきの祖父加平次は、キリシタン狩りの目を逃れて次郎とさつきをつれだし・・・・

おなじ運命を背負いこの地にたどり着いた次郎とさつき、由加に安息の日々が訪れるかに見えた。浜の長、庄兵衛の息子庄吉はさつきに思いを寄せていたが、次郎と兄妹ではないこと知ったさつきは自分の思いにとまどう・・・・・

干魚を売るために町の市に行ったさつきはイエスやマリアの像を足で踏ませる、キリシタン改めが行われることを知る。

やがて、キリシタン改めが行われ、加平次、由加と踏み絵が進む中で、何者かの密告によりマリア観音の像が発見される。それは、次郎が母を思いながら彫った像であった。

母の像を踏むことを拒む次郎。さつきもまた次郎の母の像を踏むことが出来ず、ふたりはキリシタンとみなしてとらえられる。沖の島で燃え上がる十字架とともに行われるふたりの処刑。役目を負うと願いでたのは浜の長、庄兵衛であった。

さつきに思いを寄せる息子の庄吉が、さつきの次郎への思いを知り、次郎を陥れるために密告したと悟った惣兵衛は、さつきの祖父のもとを訪れ、十字架に縛られて燃え上がっているのは人形であると告げる。そして加平次に、由加と船で島へ渡り、ふたりを待つ次郎とさつきとともに南にあるであろう安息の地に逃げるよう促す。

一方、由加は慚愧にたえられず・・・・・

『別冊りぼん』 1966年(昭和41年)夏の号 作品の頁数がイレギュラー作品であった「火の花の丘」は、シリーズ中、読者支持の高かった作品2作を再録したA5版の雑誌、季刊『別冊りぼん』に、新たなエピソードが描き加えられて130頁の作品として収録されている。

 

 

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