小さな花 わたなべまさこは、1963年1月号新連載の 「カメリア館」 から1969年8月号最終回の 「パパは恋人」 まで長期に渡って  『りぼん』 に名作を残した。本作は作者による 『りぼんカラーシリーズ』 唯一の作品、幼くして両親をなくした少女ジェーンの運命がミステリアスな愛の結末につながる秀作である。

 

 

 

 

ジェーンがロウウッド孤児院に向かう日、見送ってくれたのはメイドのベッシィだけでした。幼くして両親を失ったジェーンを引き取った叔母とその娘のイライザは、成長したジェーンを受け入れてくれませんでした。

少女ジェーンのものがたり 小さな花

ジェーンはロウウッド孤児院のやさしい院長にむかえられましたが、生徒長のミルー先生はきびしい人でした。孤児院の生活になれないジェーンにやさしくしてくれたのは、ヘレンと言う少女でした。

ミレー先生は何かにつけてヘレンに辛く当たります。それでもヘレンは、先生は自分の欠点を注意してくださっているのだとミレー先生を信じていました。そのやさしいヘレンが風邪がもとで亡くなってしまいます。

ヘレンの亡くなった朝、慈善家のロチェスター氏がロウウッド孤児院を訪れていました。ジェーンがヘレンと友達だったと聞いたロチェスター氏はジェーンを引き取りたいと申し出ます。

ロチェスター氏の大きなお城で何不自由なく生活するジェーンですが、自分は本当にロチェスター氏に愛されているのだろうかと言う思いがありました。ヘレンを失った自分をあわれんで引き取ったのではないかと・・・。それもでも日が経ち、ロチェスター氏の愛情を受けるうちにジェーンの心は和らいでいきました。

ある夜、気味の悪い笑い声に誘われて入った部屋にヘレンが・・・。それは、ヘレンではなくローラァと言う少女でした。ヘレンとローラァは双子の姉妹だったのです。ロチェスター氏はジェーンに真実を話しました。精神を病んだ子として生まれたローラァ。そのローラァがいたずらで起こした火事でヘレンは行方不明になってしまったと。以来、孤児院への慈善を始め、ロウウッド孤児院で行方不明だったヘレンの死を聞いたのでした。

ふたたびジェーンは、やはりローウッド氏はヘレンを失ったジェーンを哀れんで引き取ったのだという思いに苦しみます。ジェーンのすくいはローラァでした。ジェーンにはローラァがヘレンのように思えたのです。しかし、そのローラァも肺炎で亡くなってしまいます。

ローラァさえも失ってしまったジェーンはロチェスター氏の愛さえも信じられず、孤児院へ戻る決意をします。雪の中、馬車のジェーンを追いかけてきたのはロチェスター氏でした。

 

いかないでくれ!ジェーンわしをひとりにしないでおくれ

わたしのかなしみをわかってくれるのはきみひとりだけだ

みすてないでおくれ

ジェーン心から愛しているよ

雪の下で小さなつぼみがふくらみかけた小さな花 

わたなべまさこ 『なかよし』 の別冊付録

 

 

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