星から来た少女 本作は主に貸本漫画で活躍した西たけろうによる、シリーズ中で唯一のSF作品である。本作の原点は東京漫画出版社発行の貸本「人形娘」にあり、単行本化されるにあたってセルフリメイク版「聖少女の裂けた顔」と改題された経緯がある。(参考資料:「怪奇マンガのあなぐら」管理人BottomlessPitFighter まっどどっぐ・がちょんさん運営ホームページ)『りぼんカラーシリーズ』の1作として残されたこの作品は、SF作品でありながらも「愛と感動の物語」というシリーズのテーマを色濃く反映した秀作である。

 

 

Part1 ある夜、新進女優の黛ミチとマネージャーの牧は運転中に、地上に落ちる光に気をとられて人をはねてしまうが、そのまま立ち去る。その夜、作家の一条アキ子と画家志望の弟である宏は、自宅の前に佇む少女と出会う。話す事さえ出来なかった少女は、みるみる言葉を覚え、人間にとって大切なものを知りたいという。姉弟と姉の恋人である医師の左は、美と愛情と真実であると教える。

 

Part2 女優のミチがアメリカ映画に出演するため渡航する間、少女は映画監督の白沢に認められて新人女優白丘奈津江としてデビューし、スターになる。その後、撮影中の事故で日本に戻ったミチは、すでに自分の居場所はなく、かつての恋人牧さえも失ってしまったことを知る。奈津江と白沢監督、牧を恨んだミチは、奈津江を陥れるために白沢監督を殺害し、交通事故を起こした牧と画家修行のための留学費用を提供することで宏をアリバイ工作に利用する。

 

Part3 裁判の場で奈津江は自分が異星人で頭の後ろにある目でミチの殺人を目撃したと訴える。そして、アキ子、宏、左の真実の訴えもあり奈津江の無実が証明される。自責の念に耐えられず自殺した宏。ジュネーブへ旅立った左を見送った奈津江にアキ子は、辛さや悲しみに耐えてたどり着いた真実こそが人間にとって大切なものなのだと説く。

 

西たけろうによる雑誌掲載作品

 

 

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