私達は小さい頃から、「努力の必要性」を親や教師、社会人になってからは会社の上司などに、強く説かれます。

 私も、自分なりに努力はしているつもりですが、回りの人間が理解できるような努力がなかなかできないため、努力不足と言われる事もたまにあります。

 そもそも、『努力できる量や質は、生まれつき備わっている才能の影響が大きい』のではないかとさえ、私は思ってしまいます。

 ある研究の論文を紹介したサイトの記事に、面白い内容の実験データが掲載されていたので紹介します。

 双子の被験者を、一卵性双生児と二卵性双生児に分けて学力試験を行い、結果の統計を見るというものです。なぜ一卵性双生児と二卵性双生児を分けるかというと、一卵性双生児は二人とも遺伝子がほぼ一致するのに対して、二卵性双生児は50%しか一致しないという特性から、才能に対しての遺伝子の関係性を調べるためです。

 結果は、学力試験の上位5%に入った人間の内、双子の両方が入った確率は、「一卵性双生児が約70%、二卵性双生児が約40%」となりました。

 つまり、才能に対しての遺伝子の影響はある程度あることが証明されます。さらに、生まれ育った環境も影響 することがわかり、『才能は、遺伝が約40%、育った環境が40%』影響することがこの実験によって明らかになりました。つまり、『自分ではどうすることもできない事で才能の8割が決まってしまう』という事になります。

 つまり、突出した努力ができるかどうかは、運に左右され、努力量に個人差が出るのは極めて当然の事なのです。

 そのため、努力ができない人に対しては、環境からのアシストが必要となります。

 皆さんは、『ナッジ理論』というのをご存じですか?ナッジ(nudge)とは、直訳すると、『背中を押す』になり、『強制せずに無意識下でよい行動をとるように誘導する行動理論』の事で、実用例では、男子トイレの小便器に虫の絵の的を付ける事で清掃コストを抑えたり、道路標識や飲食店のメニューにオススメを書くのもこの理論を応用してます。

 つまり、『ナッジ理論を活用することで努力できない人間も豊かな生活を営む事ができる』のです。

 まず私達がする事は、努力は誰でもできる物ではない事を認識し、努力できる事自体に感謝をし、努力できない人には回りの人間が優しく背中を押す事が大事だと、私は思います。