私は高校卒業後、就職。

１年勤めて退職し、美術系専門学校に入学しました。

（絵が下手でも入れるのよ）

専門学校では、漫研に入りました。

漫研は、漫画を描く同好会です。

（絵が下手でも…以下略）

顧問は、助手のUさん。

（先生ではない）

漫研は、外部の人の入会も可能でした。

つまり、卒業しても漫研に所属していられるのです。

活動は土曜日の授業が終わってから。

私が初めて漫研で漫画を描いていると、一人の大きな男性が教室に入ってきました。

顔、覚えてない

Ａ先輩。

「大きな人」というのは、肥満ではなくてスポーツをやっていた筋肉量のある人という感じです。

あとで聞いたところによると、バスケットとテニスはやっていたらしく、プロレスも興味があって、技をかけられるということでした。

大人っぽく、落ち着いた雰囲気の人。

（個人の感想です）

なんとなく、近寄りがたい…。

声、かけにくいな…。

そんなふうに思っていました。

助手のUさんは、こちら（学生）のノリに合わせているので、感覚として若い感じがして親しみやすかったのですが、A先輩とは距離を感じました。

ある日、UさんがＳくん（私と同じ学年）に

「みんなにジュース買っておいで」

と言って、お金を渡しました。

当時、最低６人はいたと思います。

頼まれたＳくんは、ひとりひとりに希望の物を聞いていました。

“先輩は、何がいいって言うかな？　イメージからしてコーラかコーヒーかな？”

（予想を立てる私）

Ｓくんが「先輩は何がいいですか？」と聞くと…。

マミー！！

マミーって、ヤクルトと似た味のやつだよね？

乳酸菌飲料で、甘くて、子どもが好きそうなやつだよね？？

先輩のイメージがああああ！！！

小さな子どもが飲みそうな甘いものが好きだったなんて！！

（勝手に見ためから脳内で先輩像を作りあげていました）

先輩は甘党かも！（私の脳内書き換え）

ちなみに、この先輩の描いていた漫画のジャンルは

スポーツものでも、格闘ものでもなく、

恋愛もの　でした！！

ここまで見ためのイメージとかけ離れるなんて…。

私はたぶん、人をみる目がない。

＊＊＊

うちのアラサー娘。

マミーが好きです。

娘が「マミー、飲みたい」って言っても、なんとも思わないんだけどね。

娘の本質はお子さまだから。

娘が「マミー」と言うたびに、Ａ先輩のことを思い出すのでした。

＊＊＊

私が専門学校を卒業してから、Ａ先輩は東京へ行き、某専門誌に漫画を掲載していると聞きました。

今も描いているのかな？

娘のひと言で思い出す人