M,A,Dキラーポマトの最期 | Sadless Madness

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2007/01/27


私は70歳にもなって、夢(寝たときに見るほうの)に夢中になってしまいました。夢だけに夢中ってね。すみません。
私が小さいころは想像もしていなかった「人の夢を覗くシステム」を開発してからというもの、それだけが唯一の楽しみになってしまいました。

まずあの男性の夢を見てみましょう。やり方?それは省きます。詳しい方法を説明しているような時間は私には残されていないんです。

ここは男性の夢の中です。青色の枯れた草に覆われた線路がありますね。その手前にはベンチが設けられています。そのベンチには、右手にカッターナイフ、左手に風船を持った少年が座っています。少年は一点をじっと見つめています。何を見ているのでしょうか。
少年は風船を手放しました。風船は空高く上がっていって、空には高層ビルが立ち並びました。私が上空からベンチへと目を移したとき、少年はいませんでした。代わりに白髪の老人が座っています。この老人は先ほどの少年が歳をとった姿なのでしょうか。
夢はここで終わりました。次はあの中年男性の夢を覗いてみましょう。

島のようです。周りは一面海の孤島ですね。人間の姿はありません。海にはジュースのペットボトルが浮かんでいます。ペットボトルが海に沈んでいっては、新しい別のペットボトルが浮かび上がります。それを見つめていると、突然日本旅館とおもしき建物の中に変わりました。建物内の階段上から、マネキンの頭部がたくさん転がり落ちてきます。なんとも不気味な光景ですが…
マネキンは個室に入りました。個室の中ではマネキンの頭が二列に並び、向かい合っています。どうやらマネキンは一つ一つ顔が違っているようですが、しかし大きな違いは感じません。
ここでこの夢は終了しました。次はあの女性の夢を覗いて見ましょう。

黄色と灰色の空間の中、大きな赤い塊が女性に近づいています。女性は驚いているようですが、そこから動こうとはしません。赤い塊が女性と接触した瞬間、遊園地のような場所に変わりました。
遊園地といってもジェットコースターや観覧車はありません。
錆び付いた星形の物体がぐるぐる回っているだけです。
まだ途中ですが、もうやめることにします。

以前からいろいろな人の夢を覗いてきました。明るく楽しい夢もありましたが、どちらかといえば暗い夢や悲しい夢のほうが多かったです。夢とは、人間が潜在的に持っている意識や、開かないまま引き出しに眠っているその人の思い出などが具現化したものだと私は考えています。
普段何も考えていないように見える人や常に明るく振舞う人も、心の奥底に眠っている辛さや悲しみは消えることはないまま残っているのでしょうね。
開かない引き出しは、夢を見ることで開けることができます。忘れていた記憶を呼び起こすことが良いことか悪いことか、本人にしかわからないことですが。
歌の歌詞などによく「後ろを振り返らず、前を見ていけ」といった一文があります。かっこいいことを書いているようですが、振り返ってみることも大事だと私は思います。

私は眠くなってきました。おそらく今寝たら、二度と目を覚ますことはないでしょう。ところで、私は映画や小説を一切観ません。なぜかというと、人が創ったものより自分が見る夢のほうが何倍も面白い、と考えているからです。
たとえそれがどんな悪夢でもね。


おやすみなさい。