2007/01/25
今までのあらすじ
今までのを読んでください
中途半端に勝ち、たいしてテンションも上がらず、とりあえず王様のところまで挨拶にむかいました。しかし僕は挨拶に行ったことを深く後悔することになります。
王様は僕らに頼みごとをしてきます。聞くところによると、王様の大事な冠が、盗賊に盗まれてしまったそうです。それを取り返してきてくれと。
アリアハンの時といい、この世界の王は皆、このように他人任せなのでしょうか?
カンダタなどという、芥川龍之介の小説に登場するような名前の泥棒の1人や2人、そちらの兵隊になんとかさせればよろしいのでは?
泥棒1人にてこずるような規模の城ではないとお見受けいたしますが…まあ本当はわかっていますよ。自分の兵は使いたくないということですね。僕らなんていくらでも代わりがいますしね、命がけで戦わせ冠を取り返せば御の字、仮に失敗しても代わりの人間を行かせればいいだけですしね。
僕らにそんな身を粉にして働くサラリーマンのような扱いをしていただけるとは。王様、光栄でございますよ。
当然のように王は、一銭も用意はしてくれません。
王様、今の僕らに必要なものは、あなたの財布のヒモのように硬い防具なんです。
こうして僕らはバラモス討伐をいったん休憩し「カンダタから冠を取り返す」という情けない仕事を命じられました。本当に僕勇者ですか?
頑丈な鎧の化け物や巨大なイモムシと必死に戦いながら、僕らは一路、カザーブという山間の村へむかいます。
これがまあ、想像以上にきつい旅でしてね。普段働かない魔法使いと僧侶ですらまともに戦ってくれるくらい、生命の危機を感じる旅だったのです。
カザーブに到着したときは、まるで天国に辿り着いたのかと思いましたよ。村人から話を聞くと、どうやらカンダタは西の塔を拠点にしているとのこと。確かにこの村からぼんやりとその塔が望めますが…あんな遠いところへまた歩いていくのでしょうか…
ところで、僧侶と魔法使いの馬鹿女どもが、なぜこんなどうでもいい仕事を請けたと思いますか?実際、最初は本気で嫌がっていました。「疲れるから嫌だ」「めんどう」「ホイミスライムうざい」など得意の技が飛び出します。しかし、僕と戦士の2人だけではハッキリ言って死ぬので、冠を取り返せばとんでもない褒美が貰えるなどと説得し今に至ります。
まるで、普段は虫ケラのように扱っている男が高収入であることを把握した途端、急に目の色を変えてその男に媚び諂う馬鹿女の様相を呈していますね。
しかしこれが「女性らしい」ということなのでしょう。女性らしい2人と一緒に旅ができて、僕は幸せです。
仮に僕が、いわゆる「伝説の剣」なんかを手に入れて、それを売り払って大金を手にしたら、こいつらは僕にどれだけのことをしてくれるのでしょうか。何でも言うことを聞いてくれるのでしょうか。
今から考えただけで下半身が熱くなってまいります。すみません、話が逸脱してしまいました。
カザーブの村人の情報によると、この村には「毒針」という幻の道具が眠っているそうですが…そんなこの村の道具屋の宝箱に普通に入ってるようなチャチな品物はどうでもいいです。
どういうわけか今回は自分たちの服はあまり買わず、僕と戦士の盾や武器を買ってくれる女2人ですが、これは僕らが死なないようにすれば結局は自分たちが安全だから、といったところでしょうか。やはりモンスターが強いこの近辺、打算的に動ける女2人は強し、です。
山越え谷越え、僕たちは「シャンパーニの塔」に辿り着きました。薬草を大量に買い込んでいたことが功を奏し、僧侶の魔法力を温存させることに成功した僕たちは、塔のモンスターといっぱしにやり合いながら最上階を目指し邁進します。もうこの頃には、年長者の戦士が戦闘のプロとして育ちつつあり、みんなの先頭に立って戦ってくれます。非常に頼りになるグッドガイです。
僧侶はいつも遠巻きにうかがってますが、時折魔法をかけてくれて助けてくれます。打算とはいえ助かります。魔法使いはしょっちゅう魔法を失敗していますが、どうにも憎めない明るい性格なので僕らのムードメーカーになってくれます。
しかし一方で僕は、3人の力を足して3で割ったような感じで、中途半端もいいところです。
かつて大魔導師マトリフさんが仰っていた「勇者は何でもできる反面、何にもできねぇんだ。」そんな言葉が身に刺さります。
正直俺いらないんじゃねぇの?と言いたくなりますが、そんな事言ったら何のために旅をしているかわからなくなってしまいますので、モンスターを倒したら周りよりも大袈裟に喜んでみたり、攻撃をする時に大見得をきってみたり、工夫しながら役に立っているフリをします。本当に僕勇者ですか?
ついに僕らはカンダタの所まで辿り着きました。しかしその前に子分が襲いかかってきます。今まで数々の修羅場をくぐり抜けてきた僕たちにとって、こんな「さまよう鎧」の色違いなどたいした敵ではありませんでした。そして子分をぶっとばし、ついに小悪党、カンダタとの対面です。
僕はカンダタという人間を勝手に想像していました。これだけの子分を従えているなら、さぞかしカリスマ性に富んだ盗賊、そして相当な武闘派なのだろう、と。
しかしその実態は…目だけ出ている間抜けな覆面、しかも色は緑という奇抜さ、服はパンツ一丁というプロレスラーのようないでたち、そして僕らのメンバーの女2人を挑発しているかのように見せ付けているもっこりとした股間、手には大斧を携えています。
これはまさにニュー・ジェネレーションスタイル。
僕は緊張の糸が切れました。こんな間抜けな男に冠を盗まれたロマリア王のふがいなさ、そしてそんなカンダタ並に間抜けな王の命を受け、必死にここまで戦ってきた自分たちに憤り、激しい虚無感にさいなまれました。
本当に僕勇者ですか?
つづく