イタリアにはまだまだ零細小売店が数多く存在します。私の行きつけの店もそういう一件。商品知識があまりない年老いた夫婦がとんでもない価格設定で経営を続けています。イタリアの田舎町では価格の相場がめちゃくちゃで、変なものが異様に高かったりします。健康上の理由からか、不定期に閉まっていることがあって困りますが、慣れちゃうと近いし愛想もいいし、なんとなく離れ難くなってしまうのです。肉屋も野菜や果物、魚を売っている市場も近いので、理論的にスーパーマーケットは不要なのです、が、ときにいかにも体に悪そうなお菓子とかジェラートを食べたくなって、大きなスーパーにも週一くらいで通ってしまうのでした。現代っ子の私は、体も心もindustrializzatoされているんでしょうね。ちなみに平野がでんと広がるフリウーリ地方には大規模なショッピング複合施設が次々に作られていて、ゴリツィアのような小さな町の商業セクターは大打撃を受けている現実があります。店の主は「うちが最後のちっちゃい店だよ」とさみしいことを言うし。。。そういう苦境を知っていればこそ、いまさら時代の波に乗り遅れまいと変革に乗り出すエネルギーが残っていない老人が経営する食料品店を応援したくなるのです。そういうつもりかどうかは知らないけど、車がない近所の人たち(特に高齢者)がよくこの店を訪れています。

 この小さなお店で一番お気に入りの商品はスロウ゛ェニアの温泉保養地ROGAS’KA SLATINAの温泉炭酸水(瓶入り)、一本0.64ユーロ(90円くらい)。F.V.G.のスーパーではプラスチック製の容器に入っていて120円くらいで売っています。この水の存在を知るようになったのは、消化器系の持病に苦しむ大学院の友人が愛飲していると聞いてから。すごく「温泉!」って感じの味で、飲んだ後とってもすっきりさっぱりするんです。多分ダイエットにもすごく効果的だと思う。普通のミネラル・ウォーターに比べるとかなり高いですが、日本でペリエを買うことを考えればとてつもなく安くておいしい。これがないと思うと帰国が鬱だわ。誰か日本に輸入してくれないかな~。